子どもが1歳半になったのを機に、この4月から大学で教える仕事に復帰した。アナウンサーの仕事も徐々に増やしている。

 改めて感じるのは、こうして仕事に復帰できるありがたみだ。何の保証もないフリーという立場。大学の特別客員教授職も、任期付きの契約。はっきり言って、出産・育休後、何らかの仕事をもらえるかどうか、ものすごく不安だった。

 会社員の方にはピンとこないかもしれない。でも、フリーで、女性で、特にアナウンサーのような職種で、出産するということは、仕事をすべて無くす覚悟、ゼロから出発する覚悟が必要なのだ。

 実際のところ、出産と育休によって仕事がどうなったかというと、「去るもの」もあったし、「去らぬもの」もあった。

妊娠を報告した相手から「おめでとう。お疲れさまでした」と言われる悲哀

 出産当時、ナビゲーターを務めていたラジオ番組のプロデューサーやスタッフの皆さんからは、とてもとても祝福していただいた。そして、祝福と同時に「お疲れさまでした」と言葉を掛けられた。

 まぁそうなるよなぁ。私は出産後しばらく育児に専念しようと思っていた。例えば、私が休んでいる間、別の新しい方が番組をやることになったとして、その後「育休明けで復帰しますから、はい、さようなら」とはいかないだろう。プロデューサーの立場だったら。てなことが想像できる程度には、このギョーカイで長く生きている。

 かくして、6年務めた番組を「卒業」した。