仕事に心血を注ぐあまり、40歳目前まで子どもを持てなかったという事実

 こうして見てみると、色々な方々が尽力してくださっていることが分かる。出産は究極にプライベートなことなのに、仕事関係からの協力なしではありえない。会社員ならそれも「企業の福利厚生の一環」と思えるが、フリーだと、関係者一人一人の気持ちによるところが大きい。義務でもなんでもないのに、私1人のために、ある意味余分な仕事やスケジュール調整を抱え込むことになる。「面倒だけど、この人のためにやってあげよう」と思ってもらう必要があるのだ。

 出産がこんなに遅くなってしまったのは、そんな事情があったからかもしれない。

 心血注いでいる仕事を今はまだ離れたくない。「今はまだ」「今はまだ」と思っているうちに、気付いたら40歳前という感じだった。立ち上がったばかりの番組ならなおさら。始まったばかりで番組が軌道に乗る前に産休を取ることが何を意味するのかは明らかだ。

 実際、スタート間もない番組で、「おめでた婚」することになった出演者に対し、「なんてことするんだ」と心ない言葉が掛けられている場面を見たことがある。私も新人の頃に、「おめでた婚」で番組を数カ月で降りた方の代役を務めたことがあった。その方に対して、「せっかくついた番組なのに、なんでこのタイミングで?」とぼんやり思ったことがある。私もまだ若かった。

 そんな経験をしていると、自分は番組やスタッフに迷惑を掛けたくないという気持ちが自然と強くなってしまう。年齢的にそろそろ子どもを考えないとなぁというタイミングで、「子どもはまだ待ってほしいなぁ」と番組関係者にぽろっとつぶやかれたことがあったのも、ずっと心に引っかかっていた。

 本人は別に悪気があったわけではないと思う。番組を守り、育てる立場としては、出演者に途中で抜けられるのは痛いに決まっている。むしろ、「抜けてほしくない」と思ってもらえていると、嬉しいくらいだった。