最初はスーパーマーケットのパート程度の収入を目標に置きましたが、その次は、会社で働いていたころと同じ年収を目標にしました。その後は、「絶対、夫の年収を超える」という目標を掲げました。もちろん夫はバリバリ働いていて、当時、家のことは時間がなくて何もできなかったので、私がやるしかありませんでしたが、私の稼ぎが追い付いたら、同じくらい家のことをしてもらいたいなと思っていました。同級生だということもあり、対等でいたかったんです。

 そして、実は4~5年前、夫は会社を辞めました。今は、あっとほーむを手伝ってくれています。生活するには困りませんが、やはり夫の安定した収入がなくなったことによる怖さはあります。ただ、夫と話す時間が増え、夫婦関係は前よりさらに良くなりました(笑)。

共働き夫婦は忙しいからこそ、お互いの仕事の話はたくさんしたほうがいい

 私は会社員時代から夫に仕事の話、女性としての処遇の不満などをよく話していました。夫も会社での話をしてくれていました。経験上、お互いの仕事の話をしたり、自分達の目標を話し合っていたりする夫婦のほうがうまくいくと思います。夫は昔も今も私を応援してくれる人で、今も二人で相談したり、アドバイスをし合う関係です。

 夫は私自身よりも私の才能や可能性を信じて背中を押してくれます。私自身は“普通の人”で、何の取りえもありませんが、夫がいてくれるおかげで、自分の好きなこと、自分のやりたいことができると思っています。これは、これから起業する人にとって重要なことで、自分以外に、自分を信じて応援してくれる人がいることが、事業をするうえでとても大きな力になるんです。

 あっとほーむでは、「子育て支援起業講座」を開設し、あっとほーむのようなところをやりたいという方に、運営ノウハウを余すことなくお伝えしています。その受講生の方々には「ぜひ家族を味方に」と伝えています。
 これは、起業する人に限った話ではないですよね。お互いの才能や能力、可能性を信じて相手を幸せにしたいと思うことが大切かなと思います。夫婦がお互いを尊重し合おうと努力する姿は子どもにとって非常に好影響を及ぼすものであり、子育てと仕事の両立もよりスムーズになるはずです。

 あっとほーむを利用しているご夫婦でも、「いい感じだな」と思う人達は、毎晩二人で晩酌しながら話をしていたり、時々二人でコンサートや食事に出かけています。

 子どもを置いて夫婦で出かけるなんて、なかなか考えられない人もいるかもしれません。確かに、お子さんは可愛いですから、できるだけ長い時間を一緒に過ごしたいと思うでしょう。でも、夫婦二人が十分にお互いの話を聞いて信頼を構築することが、家族のベースには必要だと思うのです。

あっとほーむでおやつのパンを手作りする子ども達
あっとほーむでおやつのパンを手作りする子ども達

(ライター/大友康子、撮影/花井智子)