しかも、葉酸は食品のみで摂取の基準値を満たすには限界があります。妊娠を考えている人の摂取の基準は、1日に通常の食事に加えて400マイクログラム(0.4ミリグラム)。これは野菜350グラム以上に当たります。

 さらに葉酸は熱を加えると分解しやすい。ある研究によれば、強火で10分煮ると、カリフラワーは84%、ブロッコリーは69%、ほうれん草は65%の葉酸が失われるとのこと。さらに長時間加熱すれば失われる量はもっと増えます。つまり、食事だけで葉酸を足りさせようとすると、今度はカロリーオーバーになるんです。

――では、サプリメントで補う? サプリメントって、何となくナチュラルじゃない気がして抵抗があるのですが。

 確かに、たくさんのサプリメントが出回っていて効果の怪しいものはあります。「サプリメントを飲んでいるから普段の食事はどうでもいい」なんて言う人もいるから、すべてをひっくるめて考えるのは危険。だけど、妊娠を考えている人への葉酸のサプリメントは、“ナチュラルな生活”では得られない胎児の安全性が得られるんです。

――なるほど。サプリメントでも取るほうがよかったんだ…。葉酸のサプリメントはたくさん種類がありますが、ドラッグストアで売っているようなもので大丈夫ですか?

 はい。妊娠を考えるプレママのための商品も、いろんな企業から発売されていますよ。サプリメントの欠点は、取り過ぎること。1日の摂取量があるのに「昨日も、一昨日も食べてないから1週間分食べてやろう」というのはNG。摂取量を守り、通常の食事に加えてサプリメントで補ってください。

――妊娠していなくても、取っても悪い成分ではないですもんね?

 もちろん! 葉酸を1グラム以上取るとあまりよくないという見解も出たことはあるんですが、これはサプリメントをラムネのようにバクバク食べない限り、1グラムを超えることは現実的に不可能。妊娠を考えている人は、今日から必須で始めましょう。

 今回はここまで。次回以降は病産院選びのポイント、そして出生前検査について質問します。

宋先生、次回もよろしくお願いします。
宋先生、次回もよろしくお願いします。

(続く)

(文・写真/平山ゆりの)