今「妊活」という言葉もあるように、妊娠準備として外せないのは、「感染症の抗体があるかどうかを調べて予防接種を受けておくこと」と「葉酸を摂取しておくこと」の2つですね。

――「プレ妊婦編」ですね。私もきちんと知っておきたいところです。感染症とは、流行している風疹などでしょうか。

 そう。妊娠する前に調べておきたい抗体は、「風疹」「麻疹(はしか)」「水痘(水疱瘡)」「リンゴ病」「ムンプス(おたふく風邪)」「トキソプラズマ」など。もし何かの抗体値が低い場合、ワクチンで予防できる病気の予防接種は受けておいてほしい。抗体を既に持っている人がさらに予防接種を受けても問題ないので、予防接種を受けてしまうのが確実な方法です。「トキソプラズマ」や「リンゴ病」にはワクチンはありませんが、周囲で流行したときに自分に抗体があることが分かっていれば安心していられるし、抗体がない場合は外出時にマスクをするなど、感染しないように気を付けることができますよね。感染症は上の子どもが外からもらってくることも多いので、2人目以降の妊娠でも注意が必要です。

 妊娠中に感染症にかかると、流産や早産のリスクが増加したり赤ちゃんに障害が起こったりする可能性があります。具体的には、「風疹」は特に妊娠初期に感染すると、胎児が、難聴・先天性心疾患・白内障を三大症状とする「先天性風疹症候群」になる危険性があります。「麻疹」は胎児の異常では済まず、流産や死産を引き起こします。「水痘」は、胎児が小頭症、白内障、四肢の形成不全などが起こる「先天性水痘症候群」になるリスクがあります。

――風疹のワクチンだけは、妊娠が分かる数カ月前に受けていました。ただ、予防接種は保険が適用されないから、費用が結構掛かった気が……。女性の私は自治体からの補助が少しありましたが、夫と2人分で1万5000円ぐらい払った記憶があります。

 風疹が流行していることからも分かるように、日本は先進国でありながら予防接種への取り組みが後手で、公衆衛生面では劣悪な環境にあるんです。本当に風疹を根絶したいなら、予防接種の受診を分かりにくい制度で各自治体に丸投げするのではなく、職場での集団接種を義務付ければ済む話でしょう。そこまで国はやってくれないので、自分の身だけでも自分で守らないと。今、フィリピンやインドネシア、インドなどアジアへ渡航した帰国者からの輸入麻疹も増えているので、麻疹と風疹は「MR」と呼ばれる混合ワクチンの接種を夫婦で受けておくことを強くオススメしますね。