40代で起業。「何かを始めるのに遅過ぎることはない」と教えてくれた母

 実際に自分も母親になり、「母のすごさが分かった」という声も見られました。

 「自分の仕事を持ち、自立することの大切さを、母は教えてくれました(例えば、私の成人式の振り袖を『これは私のお金だから、私が買ってあげるわ』と言い、父には相談しませんでした)。仕事は大変だったでしょうが、子どものこともないがしろにしなかった。今、自分が子育てしながら働いていて、母はすごかったと改めて感じています」(東京都の女性、34歳)

 「看護師だった母は、5日に一度の夜勤があり、夜勤の前日は深夜までかけて翌日の子ども達の食事の準備などを行っていましたし、夜勤明けも寝ていないのにいつも通り子育てをしていました。働きながら、3人の子育てをする母親の姿に色々なことを教わりました」(神奈川県の女性、42歳)

 「自営業で経理をしていた母。多忙だったが仕事と家庭を両立していました。女性でも子育てしながら働くことができること、社会に関わることができる職業を持つことの尊さを、身をもって示してくれたと思います」(福井県の女性、43歳)

 母親の言葉が、これからのことを考えるきっかけになった、という人もいました。

 「就職した後、『女性は手に職をつけたほうがいい』とアドバイスしてくれました。実際、母はバリバリのキャリアだったそうですが、私を出産するのを機に退職。私と弟が学校に行き始めてから、会計や翻訳・通訳の勉強をして、今でもプロの通訳・翻訳者として働いています。私も今の仕事の先を見越して、40歳、50歳になったときの働き方をよく考えるようになりました」(東京都の女性、32歳)

 「20数年間、ずっと専業主婦だったのに、父との離婚をきっかけに、趣味を生かして自分の会社を興したこと。当時の母は40代。やる気と行動力があれば、何かを始めるのに遅過ぎることはないのだと感じました。また、夫の収入に頼って生きていくことの危うさを身をもって教えてくれました」(神奈川県の女性、41歳)

 「働く母としての背中を見せてくれました。小さいときから仕事は責任をもってやる、やると言ったことはやりとげる姿を見て、仕事に対する責任を学んだと思います。また中学生のころから、事あるごとに『子どもがいると楽しいよ~、3人は産んだほうがいい』『結婚は早いほうがいい』と言われてきたので、自然と早いうちから人生設計を考えることができたと思います」(大阪府の女性、31歳)

 「働く背中を見せてくれました。『仕事をすること』と『家族で笑うこと』は両立できると、実践で教えてもらいました」(大阪府の女性、34歳)

 お母さんの背中は、多くのことを子どもに伝えているのですね。

(文/日経DUAL編集部 大谷真幸)