あなた(あなたの上司)は部下の“異変”にすぐ気付きますか?

 その大前提になるのが、部下の“異変”にいち早く気付くセンサーを磨いていること。一人一人の部下に関心を持ってよく観察しよう、ということですね。見るべきは行動と表情。何かを抱えているメンバーは、必ずと言っていいほど普段しない行動や表情を見せます。朝礼で見渡したときにうつむいている、急に遅刻が増えた、上着を着たまま午前中過ごしている…そんな異変に気付いたら、迷わず飯に誘います。

 「何かあったらいつでも言え! オレの胸に飛び込んで来い!」という体育会部室系の一言は余計です。ただ、一緒にいる時間をつくるだけでいいんです。部下が自分のことを話したいと思ったら、話しますから。ほどよい距離感がポイントです。僕は自分の子どもたちに対してもそういう接し方をしています。

 もし聞けそうな雰囲気ならば「最近、家族はどうなの?」などと軽く聞いてみてもいいでしょう。すると、「実は息子が不登校で…」なんて事情が吐露されるかもしれません。そんなときは、社に戻ってササッと業務調整ですね。

そこまで部下の面倒を見ている暇はないよ、という上司へ

 イクボスって忙しいなぁ。そこまで部下の面倒を見ているヒマはないよ、とこのサイトを閉じようとしたあなた。何を言ってるんですか! 部下の面倒を見ることこそ、上司の仕事でしょう。その時間が取れないような働き方をしているとしたら、自分の仕事の仕方こそ改めたほうがいい。

 つまり、上司こそが「ゆとり」をもって仕事をするべき。数字に追われて、目の前の部下の顔をほとんど見ないなんて本末転倒。僕は某企業のマネジャー時代、数値目標は徹底的に現実路線を貫きましたよ。だいたい前年比105%(笑)。会社から「120%を求めたい」と言われても、「ならば、+20%が可能になるだけの投入をきちんとしてください」と突っぱねていました。

無理なく着実に成果を出すことが部下と上司の幸せにつながる

 日本企業はまだまだ精神論で頑張るという根性主義の文化が根強くて、大きな予算を取って「目標達成します!」と大見えを切る上司が多いんですよね。

 でも、できないことをできると言ってしまっては、部下達が大迷惑。業務量が増えることで、お互いにゆとりがなくなり、先ほど説明したような“溝”のもとにもなります。信頼関係が低下して、パフォーマンスも下がるという悪循環が生まれるのです。

 それよりも、チームで可能になる出力を見極めて、「無理なく、着実に成果を出す」マネジメントこそが、部下を幸せに働けるようにし、上司にもゆとりをもたらす。上司の働き方ももっと変えていかないといけませんね。

 ふぅ。今日も熱く語ってしまいました。

 次回は、「育児休暇明けにかけるイクボス的一言&ダメボス的一言」についてお話しします。 また、こちらでお会いしましょう!

(ライター/宮本恵理子)