娘にピアノを習わせるのは最初から戦いでした(笑)

──いい機会ですので、三舩家の音楽教育について教えてください。三舩さんには高校生のお嬢さんがいらっしゃるそうですが、お嬢さんにもピアノを習わせたのですよね。

 そうです。高校1年生の娘がいるのですが、4歳から習わせていました。でも中学2年で止めてしまいました。ありがちなパターンですよね(笑)。

──自分が子どものころにピアノを習っていたときとの違いを感じたことは?

 最初から違いました。もう練習をさせるのが戦いでしたから(笑)。

 私は誰かに言われてピアノを弾いたという記憶がほとんどないんです。幼稚園ぐらいのときには、もう自分からピアノが弾きたくて仕方がなかった。小学校ぐらいになったら1日2時間弾くのが生活の一部になっていました。その頃には毎日弾くものだと思っていいました。

──練習もつらくはなかったんですね。

 いえ、やっぱり練習はつらかったです。でも、そのつらさは、与えられた曲を練習しなくてはいけないつらさなんですよ。

 弾きたい曲が他にあるのに、先生に宿題に出された曲を弾かなくてはいけないことがつらかった。母には「じゃあ、取りあえず2時間は宿題の曲を弾きなさい。それが終わったら遊び弾きをしていいよ」といつも言われて、好きな曲をピアノで弾くために、宿題曲の練習をしていたんです。

──普通の子どもは「ピアノの練習が終わったら外へ遊びに行っていいよ、テレビを見てもいいよ」と言われるところですが、三舩さんの場合は「ピアノの練習が終わったら、好きな曲を弾いていいよ」だったんですね。

 そうなんです。あ、でも、お友達と遊んでいるとき、私だけ練習があるので「先に帰りなさい」と言われるのは嫌だったなあ(笑)。

──お嬢さんはどうだったんでしょう?

 彼女もピアノを弾くのが嫌いではないんです。でも、その好きの度合いが違うというか。「やめなさい」と言われても弾きたいというような強い気持ちがないと、やっぱり続けられません。

──日経DUALの読者にも習い事をやめるタイミングで悩んでいる人は多いようです。

 だいたい中学に入るときが境目ですよね。

──三舩さんも「中学までは続けなさい」と言っていたんですか?

 いや、本当はずっと続けてほしかったんですけど、高校受験に向けて塾に行き始めると時間もなくなってきたので。

 それに、あまり練習しないままレッスンに行くのも・・・。自分もピアノを教えることがあるので、練習をせずに来る子どもをレッスンするつらさがわかるだけに娘の先生にも申し訳なくて。

 でも、本人は私がプロにさせたいと思っていたみたいで、5年生くらいの時に「でも、私はピアニストになる気はないから・・・」って言いだして、「え~、無理無理!」と口にこそ出しませんでしたが驚いたことがあります(笑)。

──先ほど「中学に入るときが境目」という話がありましたが、一般論として、そのくらいまで続ければある程度弾けるようになるものなのですか?

 良い先生と出会って、基礎をある程度身に付けていれば、たとえそこでお休みしてもまた再開出来ると思います。