塾選びの基準は「家に近いこと&先生がやさしい」

――では、塾選びの基準は何でしたか?

 学童の先生を怖がっていた子どもでも、楽しく通えるような塾がいいと思いました。それで先生の目が行き届くような、1クラス5、6人の少人数制の塾に決めました。ある意味“ゆるい塾”というか。先生が若くて優しいので、子どもは喜んで通い始めましたよ。特に小3では、まだ受験モードではないということもありますし。先生が声を張り上げて教えるような塾はやめておきました。

 もう一つの基準は、なるべく自宅に近い塾ということです。電車に乗ってまで通わせるのは時間のロスだと考えました。結果、自宅から徒歩3分という超近場の塾に決めました。これなら塾弁(塾で食べるお弁当)も、仕事が終わってから作って届ければOK。もともと、地元に塾が少ないので、選択肢が少ないということもありますが。

 それと、きれいで清潔感があるのもすごくよかった。お母さん達は意外にそういう観点でも見ていますよ。子どもを預けるのに安心できる場所かどうかということですね。まあ、保育園のときの学習塾がひどかったのもありますが(笑)。

占師のひと言に背中を押される

――塾に入れるとき、受験は意識していたのですか?

 習い事の代わりとして塾を始めたので、受験をするかどうかは決めていませんでした。でも、うちの塾では、4年生になると受験するコースと受験しないコースにクラスが分かれるんです。受験しないコースへの変更は後からでも可能なので、取りあえず受験コースを選択して様子を見ることにしました。

 4年生の時点ではまだ、受験用の特殊な問題はやらないんです。学校の授業よりも進んだ内容ではありましたが。受験コースを選んだ後も、塾は2教科だけにして、他の習い事をメインにやっていました。本人ものんびりしていて、特に受験したいという気はありませんでした。

 ただ、私としては、できれば通わせたい学校があったんですね。本人にやる気がないのにこのまま受験に突き進んでもうまくいくかどうか……とすごく悩みました。ちょうど夫が単身赴任中で、あまり相談もできなくて。あまりにも悩み過ぎて、占師に受験すべきかどうか聞いてみたんです。

――占師!

「楽なほうへ楽なほうへと流れていく子だから、あえて楽じゃない道を選んだほうがいい。この子は受験すべき」と断言されました。当時はやっていたテレビ番組で見た占師さんで、30代後半くらいの女性でした。写真を見せて占ってもらうんです。あまりにもきっぱりと言われたので、何となくその気になりました。

――実は決めかねていたところを背中を押してもらったんじゃないでしょうか。

 そうかもしれませんね……。でも、そんな人は他にいないとは思うので、参考にはならないでしょうけど(笑)。

 占師に背中を押されて中学受験を決めた竹下さん親子。どうやって志望校を決めていったのでしょうか。また中学受験に向けて、塾の勉強はどうなっていったのでしょうか。後編でうかがいます。

(続く)

(写真:吉村 永)
(写真:吉村 永)

(取材・文/越智理奈)