仕事を優先し、結婚・出産を後回しにする女性の増加に伴い、不妊のリスクも増しています。「共働き夫婦で、第一子はできたけれど、第二子がなかなかできない」という“隠れ不妊”に悩んでいる人もいます。妊娠に関する正しい知識を、アラフォーで2児の子育て真最中、アメリカ、ボストン在住の産婦人科医、樽井智子(たるい・ともこ)さんが教えます。

 前回記事の「女性の7割以上は『自分は妊娠できる』と思っている」では、アメリカ女性の意識調査の結果から、不妊に関して、自分だけは大丈夫だと思う傾向があることや、体外受精などの不妊治療に関する事実と一般の方の認識にずれがあること、正しい情報を入手するのが難しいことなどについてお話ししました。

 さて、今回は、妊娠適齢期を中心に、妊活を取り巻く現状についてお話しします。

妊活とは「妊娠・出産を積極的に考え、計画し、実行していくこと」

 まず、最近、巷で耳にする事も多くなった、「妊活」という言葉の定義について考えてみたいと思います。

 『妊活バイブル』の共著者、白河桃子さんは、「妊活」を「意志をもって授かること」だと書いています。私は、「妊活」という言葉を「妊娠・出産に関わることについて、積極的に考え、計画し、実行していくことを総合して表す言葉」として使ってみたいと思います。
 一般的に「妊活」=「不妊治療」と捉えられる傾向がありますが、不妊治療は、妊活中に行われる場合もある「選択肢のうちの一つ」だと言えます。

「どうすれば妊娠しやすいか?」は、学校では習わない

 妊娠の話――と聞いて多くの女性が思い出すのは、月経が始まるころ、小学校で受けた保健体育の授業ではないでしょうか? 現在では、中学や高校で、男女両方を対象にした性教育も行われるようになってきています。
 ですが、これらの性教育は、多くの場合、10代の子ども達に対して、望まない妊娠や性感染症を避ける方法を伝えるのが目的だったのではないでしょうか。「セックスをすると妊娠する可能性がある」「望まない妊娠を避けるには、適切な避妊手段が必要である」「性感染症は予防すべきだ」という視点からの教育が主流でしょう。

 「どうすれば、妊娠できるか?」「妊娠するのに適した年齢は?」「妊娠は何歳まで可能か?」ということは、多くの場合、習う場がなかった。それが実態だと思います。

 ではここで、あらためて、ヒトが妊娠に至るまでのプロセスをお話しします。

 妊娠が成立するまでの過程は、下記の通りです。

1. 月に一度、卵巣から卵子が一つだけ排卵され、卵管に取り込まれる
2. その卵子と、膣内を泳ぎ上がってきた精子が卵管内で出会う(受精)
3. 受精卵が卵管内で分割・発育しながら子宮に移動する
4. 子宮に到達した受精卵が子宮内膜に入り込み、着床する

 これらのプロセスの、どこか一つでも問題があると、妊娠に至りません。

健康な30歳の女性が性交渉をもった場合、妊娠する確率はひと月で約20%

 健康な30歳の女性が性交渉をもった場合、妊娠する確率はひと月(1月経周期、1周期は平均28日前後)で約20%です。これは、健康な30歳の女性100人が妊娠を目的に性交渉を持った場合、うち20人が妊娠に至り、80人が妊娠に至らない、ということを指します。

 ちなみに、20代ではこの確率が約25~20%、30代前半では約20~15%、30代後半では約10%、40歳になると5%以下になります。健康な40歳の女性が性交渉を持った場合、100人のうち、妊娠に至るのは5人未満。残りの95人は妊娠に至らない、ということになります。

 また、20代前半と後半では、妊娠の確率はほとんど変わりませんが、合併症などの発症が20代前半のほうが後半より少し多いため、妊娠するのに一番良いのは20歳代後半であると言われています。 

図1 女性の年齢別、1000人当りの出生数 Menken J(*1)より改編。4世紀にわたり、環境や栄養状態などが変化しても、出産年齢に大きな変動はなく、35歳を過ぎると急激に低下している
図1 女性の年齢別、1000人当りの出生数 Menken J(*1)より改編。4世紀にわたり、環境や栄養状態などが変化しても、出産年齢に大きな変動はなく、35歳を過ぎると急激に低下している

次ページから読める内容

  • 女性は50歳まで妊娠できる??
  • 妊娠適齢期は、20代です!!
  • 現在は晩婚化・晩産化が加速している
  • 35歳を過ぎると、染色体異常や流産率が増加する
  • 「卵子は老化する」――。早く産みたいけど、産めない現実
  • 卵子はアンチエイジングできない

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