これまで、3回(第1回「勉強も生活も欲張りに」第2回「SAPIXメソッドを学童で」第3回「英語・運動まで教える」)にわたって塾が運営する学童保育の特色をレポートしてきた。塾の学童保育への参入が進めば、共働き家庭にとって、放課後の預け先の選択肢が増えることになる。費用の面で週5日フルでの利用は難しかったとしても、公設学童や他の習い事と組み合わせ、週2~3日程度の利用であれば折り合いがつけられるという場合もあるだろう。

 塾が運営する学童保育は、現時点では数やエリアが限定されるため、「利用したいけれど近くにはない」という人も多いかもしれない。ただ、民間学童のバリエーションが増えてきていることを考えると、公設の学童も含めて「複数の選択肢の中から放課後の預け先を選ぶ」という視点は、今後必要になってくると言えるのではないだろうか。

制度のみならず実態も調べ、わが家に合うかチェックを

 そこで、今回のシリーズの取材を通じて見えてきた、塾が運営する学童までを視野に入れて放課後の預け先を検討する際に親が注意すべき点を以下にまとめておきたい。

1.利用日数が少ない場合は、学習の優先事項を明確に

 塾が運営する学童を利用する場合、1週間の利用日数が少ないと、学習プログラムを全てやりきれないこともある。利用日数に応じて「学校の復習に力を入れてほしい」「応用レベルの問題に取り組ませてほしい」といった学習指導で優先してほしいことを明確にして、学童のスタッフと事前によく相談しておくことが大切だ。

2.1学期の様子だけを見て習い事を増やさない

 塾や通信教育は、1学期は比較的余裕のあるカリキュラムを組み、夏休みの復習を終えた9月以降からペースアップするケースが多いという。そのため、塾が運営する学童を利用する場合、1学期の時点で余裕があるように見えるからといって他の習い事や塾を増やすと、学習内容が難しくなって量も増える2学期以降の負担が大きくなる。1学期の時点では「ほどほど」の状態でよいと考え、子どものペースを見守ることも大切だ。

3.制度だけではなく、利用者の実態をリサーチ

 オプションで21時や22時までの延長預かり制度があっても、実際にはその施設で延長預かりを利用している人はほとんどいないというケースもある。その場合、制度を調べた時点では「学童で他の子と夕食を食べればお迎えが遅くても寂しくないはず」とイメージしがちだが、実際には夕食利用は一人だけという状況になる可能性も高い。その施設の利用者の実態を事前にリサーチしたうえで、どのように利用するかを考えるようにしたい。