「『子育ては人生の一大事業』であり、仕事と同じ、いやそれ以上に、自分にとって重大な人生のミッションだと思っていました。だから、子育て環境に不安があるならば、仕事をスッパリと辞め、家庭に入って、新しいミッション(=子育て)に注力したい。そういう僕の考え方に、妻は感激してくれたようです。『ほれ直した!』とまで言ってくれました(笑)

 それからの橋本さんの生活は、完全に子どもと家庭が中心になった。現在までの生活スタイルは、ほぼ次のように回っている。

――朝起きて、妻と一緒に朝ごはんを作り、必ず家族そろって食卓を囲む。出社する妻を見送り、子どもにお弁当を持たせる。その後、洗濯、掃除、買い物など家事全般をこなす。PTAや授業参観、三者面談などの学校の行事には、必ず出席する。子どもが帰宅した後は、宿題を見たり、逆上がりやリコーダーの練習を手伝ったり。そして夕食の準備をして、息子と一緒にその日あったことを話しながら夕食をとる。今では複数の会社を経営する妻の帰宅時間はまちまちだが、息子が小さい頃はほとんど、彼を寝かしつけた後に帰宅。彼女のために夕食を用意し、自分も一緒に食卓に着いて、その日あった出来事を報告する――。

子どものことは毎晩情報を共有、見解もすり合わせる

 「毎晩、息子のことについてすべて情報共有し、夫婦の見解も合わせるようにしています。例えば、『今日はこんなことで悩んでいたよ』などと報告し、それに対して夫婦でどう対応すればいいか話し合って決めておくのです。これは、『お母さんもお父さんと同じように、あなたのことを見ていて、あなたのことを大切に思っている』という姿勢を示すため。妻が息子と触れ合える時間は、僕よりも圧倒的に少ないですが、前の晩の情報共有を元に『こんなことがあったんだって? お母さんにも聞かせてよ!』などと積極的に息子と会話をし、貴重な時間を大切に使っています」