学童保育の場でありながら、塾のノウハウを活かした学習指導や宿題のサポートを受けられる。そんな“公設学童にはない価値”を持つ学童保育が増えつつある。前回「『勉強も生活も』欲張りな共働き親を満たす学童増加」に続き、今回は、鉄道会社との業務提携を行っているSAPIX・代ゼミグループの取り組みをレポートする。

「勉強は学童で」が共働き世帯のニーズ

小田急線の高架下にある「小田急こどもみらいクラブ supported by ピグマキッズ 経堂校
小田急線の高架下にある「小田急こどもみらいクラブ supported by ピグマキッズ 経堂校

 小田急線の経堂駅の改札から徒歩3分。高架下にある「小田急こどもみらいクラブ supported by ピグマキッズ 経堂校」は、小田急電鉄株式会社が運営する学童保育の4施設目として、2014年4月1日にオープンした。

 SAPIX・代ゼミグループの株式会社日本入試センターと提携し、自社スタッフの学習指導スキル面での研修を委託、SAPIXのノウハウを活かした通信教育「ピグマキッズくらぶ」の教材提供も受け、充実した学習サポートが受けられるというのが特色だ。

子どもたちが学習する教室
子どもたちが学習する教室

小田急電鉄株式会社の高橋敏夫氏
小田急電鉄株式会社の高橋敏夫氏

 小田急電鉄株式会社の高橋敏夫氏は、学童保育事業を手がける理由を「人口が減少していく中で小田急沿線に住みたいと思う人を増やすには、子育てしやすい環境の整備が必須。沿線エリアの居住地としての魅力を高める施策の一つとして取り組んでいる」と説明する。小田急グループは10年以上前から沿線に「小田急ムック保育園」を開設しており、「小1の壁」対策として学童保育にも乗り出したという流れだ。

 学習サポートについては、「勉強はすべて学童で済ませておいてほしい」という共働き世帯のニーズを重視。「宿題とプラスアルファの学習まで学童で済ませておけば、帰宅後は親子の時間を楽しめる。そこでSAPIX・代ゼミグループと提携することで、質の高い学習サポートを提供できるようにした」(高橋氏)。

通信教材に指導員が付き添い、子ども自身に考えさせる

毎日の勉強内容や子どもの様子を記録して職員が共有している
毎日の勉強内容や子どもの様子を記録して職員が共有している

 SAPIXの通信教材「ピグマキッズくらぶ」は国語・算数の2科目で、小学1~4年生が対象。国語ではテキストを朗読したCDを聴くことで、文字を読み慣れていない低学年でも長文読解に取り組むことができ、算数はクイズやゲームといった遊びの要素やサイコロなどの補助教材を用いて理解を深められるのが特色だ。

 小田急こどもみらいクラブでは、「ピグマキッズくらぶ」の学習効果を出すために週3日以上の利用を勧めているが、それより短い日数で利用する場合にも保護者と学習プランを相談し、一人ひとりの学力やニーズに合わせたサポートを行っている。