夫に娘の予防接種をお願いしていたはずなのに、どうやら受けさせていない。しかも、壁の雨漏りを直しておいてと言ったのにそれもやっていない…と、夫が抱える“塩漬け案件”がいくつも見つかり、プッチン。「なんでやっていないのよー!」と夫を追及しました。すると、夫から返ってきたのは「君が“期限”を言わないからだ!」という思わぬ反論。「なんだ、そのできない社員みたいな言い訳は!」と内心突っ込みつつ、しばらくはすべての依頼に「これは1週間以内に」「○日までに」と期限を言い渡すようにしました。すると、いちいち期限付きで言われることに夫は違和感を感じ、気づいてくれたみたいです(笑)。以前よりも、早めに動くようになってくれました。

 というように、「私の頑張りを、夫はわかってくれているはず」「私がやっているのと同じくらい、夫もやってくれるはず」という幻想を勝手に抱いて相手に期待し、その期待を裏切られてイライラを募らせてしまうことは、今でもよくあります。

家族同士だからこそ、積極的に自分の不満や要望を伝える努力を

 でも、考えてみれば、「伝えないと、伝わらない」というのは仕事でも一緒ですよね。「分かり合っている」と思いがちな家族同士だからこそ、積極的に自分の不満や要望を伝える努力はしたほうがよさそうです。特に、ワーキングマザーは、職場でも遠慮しがちで「本当はこう思っているけれど、私が言っちゃいけない」と本音をため込んでしまうことが多いのかもしれません(私は幸い、ぶっちゃけ系のキャラでいける環境に恵まれましたが)。でも、本音は相手に伝えないと、根本の問題はやっぱり解決しませんよね。

 私自身、そのことに気づいてから、夫にも時々、「何か言いたいことない?」と聞いて、“妻に意見を言う機会”をつくるようにしました。私たち夫婦の場合は、平日はあまり話せる時間がないので、LINEも活用しています。かわいいスタンプをつければ、少々キツいお願いごとも柔らかく伝わりますし(笑)。

 私もまだまだ完璧とは言えませんが、「伝える」を重視して夫婦のコミュニケーションを心がけ、夫婦の役割分担は少しずつ出来上がってきているところです。

 日々の家事分担については、料理は私、洗濯は夫。掃除は気づいた方がやりつつ、週に1回はアウトソーシングしています。また、上の娘が通っている幼稚園は週に3回お弁当を持参しないといけないのですが、3回のうち1回の「おにぎりの日」だけは、夫にお任せ。すごく上手につくっているわけではないですが、娘も「パパのおにぎり、おいしい!」と喜んでいます。夫婦が家事を分担しないと共働きは生活が回らないという事情もありますが、父親が家事をする姿を見せることは、子どもたちの将来にとってもいいことだと私は思っているんです。

 そうそう。最近の夫の変化として、私が著書を出させていただいた後に、育児・家事貢献度がかなり高くなったということがありました。どうやら、本を読んで初めて「今まで君はこんなにがんばっていたのか!」と気づいたみたいです(遅いってば!)。やっぱり、「伝える」って大事です。その意味では、ブログやfacebookを使って日常を発信するのも、妻の奮闘ぶりを夫に伝える一つの方法かもしれませんね。

(構成/宮本恵理子 撮影/竹井俊晴)

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