インターナショナルスクールのメリット
もう1つ、説明会で繰り返し言われたことがある。
「自宅では必ず母国語で話してください。母親と父親の母国語が違う場合は、それぞれの母国語で話し掛けてください」
学校では英語、自宅では母国語を徹底しないと、バイリンガルにはなれない。ただ英語が話せるようになるだけだ、というのが学校側の説明だった。
ここには、インターナショナルスクールのメリットもあるかもしれない。
英語圏の現地校と違い、母国語が英語ではない子どもが半数近くいて、それぞれが母国語を持っているのだ。ロシア語、イタリア語、ギリシャ語、中国語、タイ語などを母国語として話していながら、学校では当たり前に英語を話す。
先月、日本でも公開されたディズニー映画「アナと雪の女王(原題:Frozen)」。主題歌の「Let it go」を25カ国語で歌うこの動画を学校で見たところ、それぞれの母国語が1フレーズずつ入っていて、大盛り上がりだったそうだ。子どもたちは、スペイン語や中国語など、友人の母国語の部分も覚えて歌っている(意味は分かっていないようだが……)。
この環境に入ってから、娘は母国語を学ぶ一方で、他の母国語を持つ人と話すためには英語を学ぶ必要があると実感したようだ。「英語はツール」という感覚だ。
「英語はツール」という感覚が、学習意欲を高める?
「英語はツール」という感覚――。これは今後10年以上かけて英語を学ぶ上で、大切なことだと思っている。
娘が「いくつもの言葉を話すのは難しいけど、英語を話せればみんなと話すことができる」と実感したのは、入学後1カ月ほど経った頃。それからは、「英語が話せるようになりたい」という意思を、娘から感じる。
最近、私の友人達の間でも未就学児から小学校低学年時に親子で短期留学したり、インターナショナルスクールのサマースクールに参加させたりする人が増えている。
英語を流暢に話せるようになる訳ではなかったとしても、母国語が違う友達と英語でコミュニケーションを取ることは大きな経験になるのだろう。
先日、夫がぽつりと言った。
「生まれながらに持っている能力なんて、実はちっぽけなものなんだろうなぁ」
確かに、わが子がこんなにも周囲の環境の影響を受け、学び、日々、相当量のものを身に付けているとは知らなかった。
親の言葉はもちろん、その生き様もよく見ているのだろう。コピーされても問題ない日本語を使わなくては……。今更ながら、私たち夫婦もそう誓うのだった。