最初は、先生や友達の英語をそのままコピー

 この日が転機となったのか、土日を挟んで新しい週に入ると、「先生の言っていることは分かるようになった」と言うようになった。分からない単語はあっても、何を言っているのかはなんとなく分かる、とのこと。

 友達の名前も覚え始めた。遊び場が充実している学校なので、山のようにある新しいおもちゃ(日本では見かけないものもある)で遊べる時間が楽しくて仕方ないらしい。

 子どもは、周囲が話す英語を真似て、そのまま覚えていくようだ。「こんな場面ではこんなフレーズ」と学び、実際に使ってみる。当然、発音も真似っこ。娘の場合は、「入れて!(Can I join?)」「一緒に遊ぼう(Let's play together!)」「鬼ごっこしよう(Let's play tag!)」など、遊びに関連する短いフレーズから覚えていった。

 先生や友達に恵まれたおかげで、今は毎日楽しく学校へ通っている。

 1カ月後には「もう言いたくて言えなかったことはないから大丈夫!」と言われるようになり、帰宅後のフォローもいつの間にか終わってしまった。

 ただ、すぐに流暢に話せるようになったわけではない。

 各国で育児をする友人達に聞いたところ、子どもが未就学児から小学校低学年くらいだと、どの子も同じような経緯をたどっているようだ。まずは、英語を聞き取って理解する。そして耳から覚えてコピーしたことを話す。さらに、アルファベットとフォニックス(英語の読み方の学習方法)を覚えた上で、読み書きができるようになっていく。フォニックスについては、次回の記事で詳しく触れたいと思う。

アルファベットの書き順が違う?

 英語の授業はアルファベットの書き方から始まる。日本の小学校でひらがなとカタカナから授業がスタートするのと同じだ。

 入学して間もない娘が持ち帰ったアルファベットの書き順を見て驚いた。半数近くは、私が覚えていたものと違う。漢字のように決められた書き順がある訳ではないらしいのだが、子どもは先生の教えたものを正しいものとして覚えていくのだから、私たちが混乱させる訳にはいかない……。

 例えば、Mの文字は、一番左側の縦線を書いてから、残りを一筆で書くのが普通だと思っていた。でも、娘のテキストには、一番左側の縦線を書いた後に、中央に向かって一本ずつ書くと書いてある。

 入学直後の説明会で「英語の学習は学校に任せてください」と言われた理由が分かったような気がした。

 娘の学校は、英語圏以外の国から転校してくる子どもたちもいる。もちろん、最初は流暢とは言えないが、数カ月から1年もすると綺麗な英語を話しているケースがほとんどだ。

 「私達は、家で日本語を教えることに徹しよう」。そう肝に銘じた。