―― 曽山さんの活動は当初「保育園一揆」などと呼ばれました。実情は少し違っていて、行政と対立するのではなく、あくまで行政側と協力しながら、子育て政策を一緒に作っていくというアプローチを取っていますよね。

曽山 はい、その通りです。行政の方々も精いっぱい頑張っています。2013年、私達は、やむにやまれず立ち上がった。その結果、行政も認可保育園増設のために動き出した。それは、これまでの杉並区の保育行政を見ていると最大限に評価すべきことだと感じています。

 でも、まだまだ保育園は不足しています。行政が苦労しているのなら、保護者の方でもできることがある。それが何なのか、アイデア出しから一緒にやっていきたいと思いました。待機児童問題は親にとっては一過性のものですが、子どもは保育園、小学校、中学校と成長していきます。そのため、杉並区内の子育てについて、保育園児の親、小学生の親など、様々な立場の保護者が一同に集まって考える場を設けたいと考えて「杉並こどもプロジェクト」という子育て支援グループを作りました。

要望があるなら、行政任せにせず、私達保護者も自主的に動くべきだ

 このプロジェクトの中で、行政に要望書や陳情書を提出したり、行政と一緒に仕組みづくりができないか模索している最中です。「こうして欲しい」という思いがあるのなら、行政任せにせず、私達保護者も動くべきだと思います。保護者の思いを行政に反映するために、困っていることがある人達こそ、力を合わせる意味があるのです。

 インタビューは後編に続きます。曽山さんは杉並区の活動に関わる前から、社会問題に関心を持っていたのでしょうか――。曽山さんの素顔に迫ります。