夫に出張の予定を話したら離婚を切り出された、敏腕女性プランナー

 話は変わりますが、この前、私の職場にいる、敏腕女性プランナーからこんな相談を受けました。

 彼女が残業後、深夜に帰宅して、「今度出張なんだ」と旦那さんに言ったら、それだけで「離婚する」と言われたのだそうです。帰宅が遅くなる日が続き、子ども達からも総スカンを食らうようになって……。「子ども達がしばらく口を利いてくれない」と悩んでいるんです。

 仕事ではクライアントからは絶大な信頼を得て、本当に優秀なのに、家に帰るとそんな冷遇を受けている。本当に信じられませんでした。

 よくよく話を聞いて分かってきたことは、家族に仕事の話を一切しない「完璧な彼女」より、家族にたくさん愚痴をこぼすダメな自分の方が、家族から応援を受けられている、という事実。彼女は仕事の話を家で一切していなかった。職場では完璧な「働きマン」の顔、家では「お母さん」の顔。この2つをしっかり分けたほうがいいと思い込んでいたようなのです。

 もしかしたら、これは優秀な女性ほど陥りやすい部分かもしれません。わが家は日ごろから仕事の愚痴を子どもや夫に聞いてもらってばかりいます。力を入れた企画プレゼンが通らず、最悪な気分でテーブルの前で落ち込んでいると、どこからともなく子どもが寄ってきて、お茶のひとつも淹れてくれます。

仕事が好きなら、家でも仕事の話をどんどんしたほうがいいらしい

 彼女の相談に乗ったことをきっかけに、いろんなことを考えました。

 テレビの中のお母さん像はどうでしょう? 「サザエさん」に出てくるフネさんは、仕事の話をするでしょうか? 「ドラえもん」に出てくるのび太くんのママが仕事の話を家でするでしょうか?

 「仕事をしたい、仕事が好き」

 そんな私達、働くママが家族の理解を得るためには、子どもや夫にも「働きマン」の顔を見せ、時には会社の愚痴を言ったりして家族に弱みを見せることも大事なのではないでしょうか。そう思うと同時に、画一的なお母さん像を放送し続けるテレビの責任を改めて問うきっかけになりました。私は自分が携わる番組において、今を生きる、リアルで等身大の女性像を描いていきたいですし、それが責務だと感じています。