色々な家庭に、それぞれの塾の始め方や付き合い方を伺おうというこの連載。今回は前回「塾はどうする 学歴格差夫婦&小4娘の意識ギャップ」に続く石井和美さんの第2回です。小学校3年生のころから「4年生になったら絶対塾に行くから」と宣言していた娘さん。一方、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了のご主人は「早いうちから勉強を頑張り過ぎても途中で失速するからやめたほうがいい」と塾通いにあまり乗り気ではありません。小学生時代はドリフターズをこよなく愛し「小学生なんて遊んでナンボ」と思っている妻の和美さんは、2人の間に挟まれながら、娘さんのための塾探しを始めました。

旦那の洗脳、いや誘導で公立中高一貫校を目指すことに

 そもそも娘が塾へ行きたいと言い出したのは「中学受験がしたいから」。

 「徒歩1分の場所に公立の中学校があるんだから、わざわざ遠いところに行かなくてもいいのに」という思いが私にはあるが、こんなことになってしまったのも、すべて旦那のせいだ。

 娘が挑戦したい中学校はすでに決まっている。県内にある公立の中高一貫校。これは娘が小さいころから旦那が洗脳……ではなく、うまく誘導した結果なのだ。

 旦那は娘が小さいころから母校の東大の文化祭や、科学館などによく連れていっていた。小学1年生になってからは、旦那が目を付けた中高一貫校の文化祭に家族で行き、毎年丸1日遊んで帰ってくる。この学校こそが、娘が志望している学校なのだ。

 「教育レベルの高い学校では、こんなに楽しいことが待っている」ということを、実際に学校に連れていき、子どもに体験させる。これが旦那の狙いだった。

 確かにレベルが高い学校の文化祭は、子ども向けにもきちんとした実験イベントなどがあって、数学・理解が苦手な私が見ていても楽しい。昨年は東工大の文化祭に行ったが、こちらも子ども向けの実験イベントが盛りだくさんで、娘には非常に好評だった。子どもが夢中になるのも無理はないと思う。旦那は自分が気に入っている学校には、どんどん連れていく。

 ただし、女子中の最高峰と言われている「御三家」(桜蔭中学校、女子学院中学校、雙葉中学校)の文化祭に連れていったことはない。なぜか。それは旦那が私学に全く興味を示さないからなのだ。

御三家のすごさは分かっているけれど……

 旦那自身は公立中学校から都立高校を卒業して東大に入学したのだが、塾講師や家庭教師のアルバイトをやっていたので、御三家のすごさは、男女共に分かっている。東大時代も開成や灘出身の学生はやっぱり優秀でレベルが違ったそうだ。それなのに旦那は私学には見向きもしない。