悩んだ理由の第2位は、「職場の理解が得られるか」で、38.4%でした(表2参照)。記事「出産後も働き続けるために必要な条件1位は?」で紹介した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」でも、就業継続に一般的に必要と考える条件として、67.4%の女性が「職場に育児との両立支援制度があること」と答えています。

 3位の「収入面での不安」は、仕事を辞めた時の家計が心配ということでしょう。今回、女性を対象に行った「お子様ができても働き続けよう(働こう)と思った理由は何ですか?」という質問に対しても、79%もの女性が「世帯収入を維持したいから」と答えています(表3参照)。

 その理由について、女性のキャリア形成に詳しい関西学院大学ビジネススクールの大内章子准教授は次のように分析します。「ダグラス・有沢の法則(夫の収入が高いと妻の就業率は低くなり、夫の収入が低いと妻の就業率は高くなるという法則)によると、世帯収入がさほど高くない家庭は、お互いの扶養に入らずに仕事をする可能性が高いとされています。その場合、この質問に対して『世帯収入を維持したい』と答えるのは自然でしょう」とのことでした。

 確かに、厚生労働省のデータによると、平成13年以降、賃金は低下傾向にあります。また、以前この記事でもご紹介したように、男性正社員は女性より減少率が高く、非正社員比率が高くなっています。「リストラがどの企業でも起こりうる現実を考えて、保険的に『世帯収入を維持したい』と答えているケースも考えられます」(大内氏)。