男女雇用機会均等法では、表向きは性別以外の理由だが、実際には一方の性別の人に不利益が大きい条件などを合理的な理由なく課すことを「間接差別」として禁じている。現在は省令で
 (1)採用にあたって身長や体重、体力を条件とする
 (2)コース別雇用管理における「総合職」の募集・採用にあたり、転居を伴う転勤に応じること(転勤要件)を条件にする
 (3)昇進にあたり転勤の経験を条件にする
の3つが禁止対象だ。

 今回の改正で見直されたのは(2)。「労働者の募集もしくは採用、昇進または職種の変更にあたり、転居を伴う転勤に応じることを条件にする」とする。

 これまで対象は総合職に限定されていたが、全ての労働者が対象となる。また、新たに昇進したり、職種を変更したりするときに、転居を伴う転勤に応じることを条件とすることをできないようになった。これによって、これまで一般職や地域限定職で働いている社員が総合職への転換を望んだときに、総合職は転勤が必須だという理由であきらめる必要がなくなる。 

 転勤については「地方の営業所などでマネジメントの経験を積むことによって、ビジネスパーソンとしての視野が広がる」「違う価値観や文化に向き合うことで、社会人としての『体幹』が強くなる」「将来、経営幹部を目指すならば、転勤の経験は必須」と、企業の人事担当者や経営者層を中心に、積極的にその意味を評価する声も高い。

 その半面、「その転勤、本当に意味があるのかと思うような異動が多い」(電機メーカー 30代)、「総合職の男性は、入社3年目前後で1回、その後本社に戻って、10年目前後または15年目前後のどちらかで1回地方勤務になることが多い。職種が営業であろうと企画でも総務でも同じ。判で押したように同じタイミングで異動します。社員のキャリア形成や、能力開発を考えているとは思えません」(金融関連 30代)

などといった声も寄せられた。

 日経DUALでは、今後も共働き子育てファミリーの転勤について取材を進めていく予定です。転勤について、みなさんエピソードや悩みを教えてください!今日のfacebook記事コメント欄で待っています!

(ライター/榎戸真理)