みなさんこんにちは。家庭教師の西村則康です。今回は、前回の親子の会話「『今日学校どうだった』『楽しかった』はNG」に引き続き、その応用編として「やる気を高める親子の会話術」についてお話ししたいと思います。

 子どもと会話をする時に、

 「~しなさい」

 「~をすべきですよ」

という言葉を頻繁に使っていませんか。これは、子どもの義務感に訴える言い方ですね。

 この言葉を聞いて子どもはどのように感じるでしょうか。真っ先に受取るのは、その言葉に付随する雰囲気です。言外に「君は劣っているから~すべきた」という文脈で捉えてしまうのです。

それから、「苦痛に耐えなくてはならない」という近未来の苦痛を感じ取ります。

 たとえば、

 「そんなに乱雑な字を書いていたら、ミスが増えてテストの成績が下がってしまうよ。ちゃんと綺麗な字を書きなさい。」

と親が子どもに伝えたとしますね。

 この会話は、親が頭の中で考える順序通りに言葉を口にしたもので、親が「子どものミスを減らしてあげたい」と切に考えるのも当然のことでしょう。しかし、子どもにとっては、その言葉に付随している「君は劣っているよ」という文脈を感じ、苦痛に耐えるという雰囲気を受ける会話であり、やる気をなくしてしまうのです。

 それであれば、子どものやる気を高める言い方を工夫してはどうでしょうか。

「AでないことをやっているとBでない状態になってしまうよ」

という言い方ではなくて、

「Aをやっていると、Bのようないいことがあるよ」

と変えましょう。

 前出の例で言いますと、

「丁寧な文字を書くと、ミスが減って、成績が簡単にあがるよ」

と言い換えます。

「近未来の良いことを感じさせる」のがやる気を高める話しかけ方

 このように近未来の苦痛を感じさせるのではなくて、近未来の良いことを感じさせる。これが、親から子どもへ、義務に訴えかけない、やる気を高める話しかけ方です。さらに申し上げると、親から子どもへの会話というのは「~しなさい」だけならまだ良いのですが、ついつい前後にいろいろな言葉が付け加わり「だから、あなたは~なんですよ」と否定的な言い方になりがちです。

 これでは、子どもは「あなたは能力がないんですよ」と親に言い続けられているのと同じことです。

 よく考えてみれば、「~すればこんな良いことがあるのよ」という言葉は、「今のあなたに~はないですよ」と言っているのと同意だということがわかりますね。しかし、子どもの捉え方は真逆なのです。

 「~すればこんな良いことがあるのよ」という言葉からは、嫌な感情どころか、親からの信頼感や希望を感じることができます。

近未来の苦痛を感じずに、近未来に起こる良いことを感じることができるのです。

 それから、もう1つ重要なことがあります。それは、子どもに限らず大人でも、ほんのちょっと頑張れば何とかできそうと思うことに対して、人は努力をしやすいということです。