そういった子は、「ある数を○で割る」ことと、「ある数で○を割る」ことの区別がつきません。この場合、「を」と「で」を読み違えると、問題そのものが変わってしまいますよね。
大人にとっては混同するはずがないと思うような簡単なことが、小学生にとっては難しいことであるケースもかなりあるのです。
なかには小学5年生になってもまだ間違える子どももいます。
実際、お母さん方から 「うちの子は、数字を適当にかけたり割ったりしているだけのようなんですが」 という相談をされることも多いです。 そういう子に、 「この2つの数字をどうするの?」と聞いたときに、 「64を16で引く」と答えが返ってくることが往々にしてあります。 「○○から○○を引く」と「○○を○○で割る」の言葉が分かっていないだけではなくて、意味も分かっていないことになります。
そういうミスをする子どもたちの会話を聞いていると、「を」や「で」が正しく使われていません。これでは論理的思考が育つはずがありません。
「てにをは」だけではなく、接続語も大切です。接続語には、様々な種類があります。予想した通りのことが起きた時に使う 「そして」「そこで」「それで」。時間の経過を意味する「それから」「そうしたら」。さらには原因や結果を表す「だから」、仮定を表す「もし」「たら」「なら」などなど。
こういった接続語をきちんと使って話せる子どもは論理的な思考ができているため、ほとんど例外なく算数ができるのです。
接続語を意識させることは中学生・高校生になってからの学習にも役立つ
中学生、高校生になれば証明問題が出てきて、「ゆえに」「よって」「なぜなら」「~と仮定すれば」……という接続語を正しく使いこなさなければならなくなります。
幼い頃から接続語を意識させることは、中学生、高校生になってからの学習のための、大事な事前準備にもなっているのです。
文章を正しく読む力をつけ、子どもの頭の中で使われる文章を正しくするために、「てにをは」を正しくつけ、接続語を交えた文章で話すようにしてください。たとえば、「そこ、ティッシュ、取って、なかったら、あそこ」ではなくて、「そこのティッシュを取ってね。もし無かったら洗面台の下から持ってきてね」と言ってあげてほしいのです。
次回は、親子の会話の応用編として、「やる気を高める親子の会話術」についてお話ししたいと思います。