抱っこひもで抱っこして子どもを保育園に送るスーツ姿のパパや育児休業を取得して生まれたばかりの赤ちゃんの世話に奮闘するパパ…。共働きのパパのあり方はいろいろ。この連載では、妊娠がわかってすぐの新米プレパパから幼児のパパまで、もっと楽しく、前向きに子育てに向き合うためのセオリーを、『新しいパパの教科書』(学研教育出版)よりお伝えします。

育休取得が出世の近道になる!?

 日本では男性の育休取得率が1.89%(2012年度)で極めて少数派。でも育休取得希望者は男性の3割、現役パパの5割、新入男性社員の7割です(厚労省、電通、日本生産性本部調べ)。現在は希望と現実に大きなギャップがあっても、今後取得者が増えていくのは間違いありません。

 とはいえ、現時点では、日本ではまだ男性の育休取得者が少ないために、彼らがその後どうなっていったのかを周囲で見る機会もないでしょう。こういうときは、育休先進国を見てみるのがいちばんです。

 スウェーデンは、「両親休暇」という育児休業制度を導入して40年近くたっています。「スウェーデン企業におけるワーク・ライフ・バランス調査2005年」によれば、役職別の男性の育休取得率では、中間管理職、ホワイトカラー、ブルーカラーが7割台であるのに対し、役員は9割を超えています。この調査は2005年時点で20代~60代が回答しているため、役員時に育休を取得したというより、当時育休を取得した人が今役員になっていると考えるのが自然です。つまり、育休取得者が相対的に出世をしているのです。

 この結果は当然といえば当然です。育休の取得によって次のような能力・適性が高まり、総合的な人間力が向上するからです。

・チャレンジ精神  ・(仕事の引き継ぎに伴う)後輩や同僚などの育成力
・リスク管理能力  ・タイムマネジメント  ・同時並行遂行能力
・ストレス耐性   ・より広い視野

 また、育休を経験したパパたちを見ると、出世にこだわりがなくなるパパがいる一方で、出世意欲を高めるパパも多いようです。育休という素晴らしい経験を多くの後輩たちにしてほしい、もっと出世して育休を取りやすい会社に変えたいという思いが強まるからです。