入学・進学の季節です。『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』の共著者で、夜間保育&学童保育所を運営する認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんと、松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さんに、ママの働き方について聞いていきます。第1回の「『小1の壁』は親より子どものストレスを気にかけて」に引き続き、第2回のテーマは「小4の壁」です。

 小学校も4年生くらいになると学校生活にも慣れ、子ども自身にも「力を抜いていいところ」と「しっかりやるべきところ」をだんだん区別できるようになってきます。
 4年生は、少し大人びてくる高学年への入り口です。

 親にとっても、それまでの手のかかりようとは違って、生活面での自立も少しずつできるようになるころだと思いがちです。
 同じように、子どもの出産から10年という区切りは、職場にも「もう、子育て中だから、って気をつかわなくても大丈夫よね」「やっとバリバリ働いてもらえる。あてにできる」と思われるタイミングでもあります。

小4とは、親は職場から期待され始める時期であり、子どもが学童を卒所する「激動の時期」でもある

 けれども、このころにもう一つの壁が待っているのを知っていますか?

 それが「小4の壁」。

 その原因の一つは、学童保育所からの退会です。行政が委託している学童保育所では、小学3年生までの人数を補助金の対象としています。ところが、保育スペースや、保育スタッフの人数の制限などで、一つの施設に受け入れることができる子どもの数は限られています。
 そこで、施設を利用したい子どもが多い地区ほど、高学年になると退会せざるを得ない状況に追い込まれるのです。なぜなら、4年生からは行政からの補助金対象にならないので、同じ人数なら、1年生から3年生までの人数を多くしておくほうが、施設の運営上は、有利だからです(例えば、あっとほーむのある横浜市では平成27年度から6年生まで対象となります)。

 さらに、4年生くらいになると親のほうは「もう一人で留守番できるでしょ」と安易に思ってしまいます。でも、昨日まで3年生だった子どもが、4年生になったとたん、そんなにしっかりするものではありません。

 4年生は小学校6年間の中でも折り返し地点です。学校での活動も増え、周囲からの期待も大きくなり、勉強も本来の勉強らしいものになっていきます。

 学校からも、親からも「もう4年生なんだから……」と言われて、結構緊張している子もいるのです。成長の自覚を子どもに持たせることはいいことだと思いますが、その移行期の不安定な気持ちを子ども一人に委ねるには、4年生はまだまだ頼りない存在だというのが現実だということを、まず知ってあげてください。