こんな状態でなんとか時間に間に合うようにママが必死に帰ってきても、言うことを聞いてくれるはずがありません。
 家に帰って勉強して、ご飯を食べてお風呂に入って明日の支度をして……なんて、毎日文句も言わずきちんとできたら、それはもう立派な大人です。働くママにとっては楽かもしれないけど、そんな子どもがいたら怖いですよね。

 自分が疲れていることに気づかなくてイライラしたり、言いたいことがうまく言えないもどかしさで癇癪を起こしたり、保育園から帰ってきてのんきに遊んでいる弟を見ていじわるしたくなったりするのが、普通の子どもです。

 そういう自分でどうしていいか分からない状態を何度も経験して、気づかないうちになんとなく乗り越えていた。そんな小さな成功を積み重ねていくのが大人になるまでに子どもたちが通る成長過程なんです。誰しもみんな子ども時代はそうして過ごしてきたじゃないですか。
 小学1年生の夏休みまでは、子どもたちはそんなことの繰り返し。でも、夏休みが終わるころには、親がちょっと寂しく感じるくらい成長してしまいます。

 働くママにとっては、働く時間と子どもの居場所の時間が合わなくて、仕事を続けられるかどうかの瀬戸際ですし、子どもにとっても結構厳しい時期であるというのが「小1の壁」。

「小1の壁」を乗り越えるためには、保育園時代より周囲の協力が必要になる

 これを乗り越えるには、保育園時代よりも多くの周囲の協力を仰ぐ必要があります。
 もちろん、パパとママが仕事をセーブできれば一番いいので、この時期に合わせて仕事を少なくするといった工夫ができる人はやってみてください。
 子どもが小学校に入るまでセーブしている人が多いけど、この時期を狙ってセーブできるのならば、それがベストです。
 でも、多くの場合そんなことはできないので、子どもが存分に甘えたり、わがままを言えたりする環境を用意してください。

 定期的に地域のファミリーサポートを利用して、家事・育児の負担を減らし、ママ・パパは子どものお世話にできるだけ力を注げるようにする。時には、おじいちゃん・おばあちゃんにヘルプをお願いする。または、子どもが素を見せられる夜間保育や学童保育施設を利用するなどといった方法があります。小学生になってからではなく、保育園時代から、そういった環境を整えておくことが理想です。

<『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』
(小栗 ショウコ、 田中 聖華 共著/ディスカヴァー・トゥエンティワン)から転載・一部編集>

この内容をもっと読みたい人は……

『だれも教えてくれなかった
 ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』
小栗ショウコ、 田中聖華 共著/ディスカヴァー・トゥエンティワン

購入はこちらから

●Amazonで購入する

(撮影/鈴木愛子)