育児・しつけの相談は2歳に多い

 次に角度を変えて、それぞれの相談事由がどの年齢で多いのかをみてみましょう。たとえば、今問題になっているいじめや不登校は、相対的にどの年齢で多発するか。0~17歳までのいじめ相談の件数は1140件ですが、このうち158件(13.9%)は13歳のものです。各年齢の件数が全体に占める割合を出し、それらをつないだ折れ線グラフをつくってみました。図2には、8つの相談事由の年齢別内訳を表す折れ線を描いたものです。見やすくするため、グラフは2つに分けています。

 虐待や障害相談の曲線はフラットで、年齢による差はあまりないようですが、鋭利な山を持っている曲線もみられます。特定の年齢に集中しているということですが、育児・しつけ相談は2歳で多くなっています。体を動かせるようになり、自我も芽生えてきた子どもが言うことを聞かなくなる頃です。初めてブチ当たる壁といいますか、この年齢に育児・しつけ相談のピークがあるのは頷けます。

非行・いじめ・不登校の相談は13歳に集中

 非行・いじめ・不登校といったメジャーな問題行動は13歳に集中しています。非行に至っては、この年齢の相談が全体の3割を占めています。まさに「魔の13歳」です。第2次反抗期の到来によりますが、小学校から中学校に上がることに伴う「中1ギャップ」の表れともみられます。小学校では手取り足とり指導してくれますが、中学校はそうではありません。制度として、この落差をなだらかなものにする必要があるでしょう。わが子と接する保護者は、彼・彼女たちの自立志向を抑えつけるのではなく、それを援助し伸ばしていくという構えが求められます。

 児童相談の統計から分かる「大変な年齢」は、大よそ2~3歳と13~14歳であることが分かりました。この年齢の子がいるご家庭は大変でしょうが、わが子だけが異常であるなどと思うのは間違いです。この年齢の危機は、多かれ少なかれどの子どもも経験することであり、危機はやがて過ぎ去り、再びやってきてはまた過ぎ去る…。こうした長期的な展望を持つことが重要かと思います。それがないと、現状に対する焦りやいらだちばかりが昂じ、虐待や家庭内暴力のような病理現象も起こりやすくなるでしょう。

 狭い生活世界を生きている個々人に、マクロな俯瞰的な視野を与えてくれること。統計の効用はこういうところにあるのではないかと考えております。この考えのもと(ダークな部分も含めて)子育て・教育に関わる統計を提示してゆきたいと思っております。次回は男女の仕事・家事時間の国際比較です。お楽しみに。