小学校で英語教育が導入されて3年。今、子どもたちは小学校でどんなことを教わっているのでしょうか。そしてこれから小学校英語がどうなるのか、専門家に聞きました。

2011年度から必修化、今後は前倒し&正式教科に

 2008 年に外国語活動として小学5、6年生を対象にスタートした公立小学校の英語教育。2011 年には必修化となり、小学校英語もすっかり定着しているようです。

 立教大学異文化コミュニケーション学部教授の藤田保先生によると「今の小学校英語の目的は、あくまでも英語に親しむこと。1.外国語の言葉や文化に慣れる、2.積極的に英語を使う姿勢を養う時間です」。

 歌やゲームを通して、実際に英語を使う体験を重視し、あいさつや決まり文句が自然と使えるような授業を展開。その代わり、単語のスペルや文法、読み書きをあえて教えることはしていません。本格導入から丸3年を経て、「学校現場では、かなりよい雰囲気で浸透している」(藤田先生)ようです。

 一方で、2013年末、文部科学省から、新しい方針が打ち出されました。東京オリンピック開催の2020 年度実施をめどに、英語の授業を小学3年生に前倒し、5年生からは国語や算数と同じ教科とするというものです。

 「まだ正式な決定事項ではありませんが、全体的な方向はこのまま進むでしょう」

 特に大きく違ってくるのは「教科化」で、検定教科書を使い、数値での成績評価もあります。「今の中1のカリキュラムがそのまま小学校にスライドしてくるというよりは、5年生からは3、4年生で親しんだ英語を〝使う〞ことを重視したカリキュラムになると予想します。単語のスペルが書けることよりも、アルファベットやごく基本的な単語が読めることにポイントがおかれるのでは?」

 新しい学習指導要領はこの数年で具体的な骨子が固まりますが、「小学校英語の役割は知識の詰め込みではなく、英語への意欲を育むことを重視して吟味されていくと思います」。