ワーク・ライフバランス社の代表取締役で、900社の働き方改善を手掛けてきた、小室淑恵さん。先日、都内の会場で開催された小室さんのセミナー「WLB実現のための働き方改革 社内実例づくりから、全社展開への流れ ~チームが自発的に原因を発見し削減を実行する『やらされ感のない仕組みづくり』~」のリポートとして、DUAL読者に向けたメッセージを4回に分けてお届けします。

第3回「成果につながる労働時間削減、3つのコツ」では、長時間労働を見直すときの、社内に成功事例を作ることの大切さを紹介しました。その際のポイントは、どんなに大きな企業でも、10人×4~6チームで8カ月間取り組むこと。その取り組みの中でカギを握るのが、「朝メール・夜メール」。今回は、「小室淑恵の長時間労働のやめ方、教えます」連載・最終回。「朝メール・夜メール」の具体的なやり方を紹介します。

ほとんどの人が、残業を誰かのせいにしている

 もし、いきなり誰かに「あなたの長時間労働を見直しましょう」と言われたら、どんな返事をしたくなりますか? 「残業が多いのは部署のせいだ」「上司がなかなか帰らせてくれないんです」「システム上、仕方がない」……と、外的要因のせいにしてしまいがちではないでしょうか?

 実は、ほとんどの方が、自分のせいで残業しているとは思っておらず、誰かのせいだと思い込んでいるのです。

 そこで、自分の働き方を客観的に見直せるツールとして力を発揮するのが、「朝メール・夜メール」。

 「朝メール」は、「仕事を始める前に、その日にやる仕事を15分から30分ごとにブレイクダウンして、上司や同僚全員と共有する」ものです。そして退社前には、「朝メール」の通りにできたかどうか、できなかったとしたら、それはなぜなのかを振り返る「夜メール」を全員に送信します。

 この結果、朝に立てた予定と、その日の実績が大幅にズレていることに気付くのです。

 「朝のうちは『今日中にやる』と決めていた仕事を、結局、午後にやった」
 「急がなくていい仕事なのに優先順位を上げて朝のうちにやってしまった」
 「いっぱいやることがあったのに、メールの返信だけで午前中が終わってしまった」
 「午後2~3時になると、お客様からの問い合わせで作業が中断されてしまって……。それなのに、いつも重要な作業をする時間に当ててしまう」
 …など、自分の仕事の優先順位付けや、取り組み方のクセを客観的に捉えることができます。

 その結果、こんな解決策を導き出せます。

 「これからは、午後2時から3時までは予定を入れないようにしよう」
 「自分一人でできる作業はもっと早い時間に終わらせよう」
 「重要な作業は、社外からの問い合わせが多い時間帯を避けて、朝一番にしよう」
 ……。時には、上司や同僚からアドバイスをもらえたりするきっかけにもなります。

 この朝夕のメールで、仕事が進まない原因は一見外部にありそうで、実は自分で防げることもたくさんあると気付くのです。