4~6つのチームを作り、8カ月を1タームとして取り組む

 ここで、私がオススメしている長時間労働削減の取り組み方を紹介します。2006年に起業して以来、試行錯誤をしながら900社以上の「働き方見直しコンサルティング」を担ってきた結果、一番効果が出たやり方です。

 まず、取り組む期間は、1ターム、8カ月間とし、これを3年間繰り返します。初年度に取り組むのは、社員10人×4~6チームくらいが最適です。この数は、全社員が数十人規模の小企業でも、数万人の大企業でも変わりません。

 「8カ月もかかるの?」「もっと短くできないの?」と聞かれますが、8カ月が最短だと考えています。人の勤務スタイルは、本人が何年、何十年と続けてきたものです。たった1~2カ月で変えることはできません。

 8カ月のうち、最初の4カ月で現状を把握し、小さくてもいいので社員が成功体験を味わうことが大事です。

 取り組みを開始して4カ月後に、4~6つのチームを一堂に集めて中間報告会を実施します。他のチームの発表に刺激を受けたり、役員からフィードバックを受けたりすることで、後半4カ月の取り組み方を見直します。この作業をするためには、最短でも8カ月は必要なのです。

 また「わが社には社員が数万人もいるのに、たった10人のチームを4~6個やった程度で、何か意味があるのでしょうか?」と聞かれることもあります。信じてください。確実に意味があるんです。最も大事なことは、「自社内」で成功事例を作ることなのですから。

 他社の成功事例を聞いても「あそこは社長が違う」「上司も違う」「あの会社は時差がある国と取引していない」などと言って、自分ごととしてとらえられないものです。でも、同じ企業で、同じような仕事の内容なのに、「本当に早く帰れるようになった実績」があったらどうでしょうか。

 「あのチーム、前は残業だらけだったのにね」「月に100時間も残業する人が多かったあの部が残業を削減したなんて、信じられない」……。そんなふうに、リーダーとメンバーの顔が浮かぶと、この取り組みをぐっと身近に感じることができるのです。「うちの部署でもできるかも」「うらやましい。わが部でも取り組んでみたい」という意識が社員の内側から芽生えてきます。