「笑っている父親」を増やしたい―その思いで全国での活動を続け、「イクメン」という言葉を社会に浸透させたNPO法人ファザーリング・ジャパン。彼らが次に挑むのは、「イクボス・プロジェクト」だ。

 2014年3月12日、「イクボス・プロジェクト」のキックオフイベントとして「イクボスフォーラム」が文京シビックセンター(東京都文京区)で行われた。育休中で0歳児を抱っこしたママから、大手企業の人事担当者までが参加。中には、仙台や大阪から駆け付けた人もいた。

女性活躍と男性の育児参画はセット イクボスが増えれば実現につながる

安藤哲也さん
安藤哲也さん

 イクボス・プロジェクトの発起人である安藤哲也さんによると、「家庭内で活躍するイクメンは世の中に増えました。でも、『定時退社』や『育休取得』など、職場での男性の「やりづらさ」はあまり変わっていない。そのボトルネックになっているのが、40~50代の管理職の意識や古い価値観なんです」と言う。

 政府が成長戦略として掲げる「女性活躍」は、企業でもなかなか進んでいない。さまざまな原因が考えられるが、その大きな原因の一つは、「多くの企業で相変わらず続いている、男性の長時間労働・休みづらい環境がデフォルト状態」だと安藤さんは指摘する。

「実は、女性活躍と男性の育児参画のこの2つはセットなんです。それを企業のボスたち(経営者・管理職層)に理解してほしい。管理職世代は、子育ては終わっているかもしれないけど、老親の介護がやってくる確率は高い。子育ても介護もしやすい職場にするには、『イクボス』を増やすほかないんです」

 フォーラム当日、女性活力・子育て支援担当大臣、内閣府特命担当大臣の森まさこさんからは下記のようなメッセージが届いた。

 「男性の育児等への参加が低調である背景には、長時間労働や休暇の取りにくさが指摘されており、働き方の改革が重要です。働き方の改革は、女性の活躍推進や少子化対策などの観点からも極めて重要な課題であり、働く男性・女性自身だけでなく、企業のトップや管理職の方の意識が変わることが必要不可欠です。
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 管理職の意識を高めていく「イクボス」は、我が国を変えていくための非常に重要な取組であり、今回スタートされる「イクボスプロジェクト」に対しても、熱い期待を寄せております。皆様とも連携しながら、取組をしっかりと進めていきたいと思います」