イクボスの成果は一朝一夕には出ない。でも、必ず結果がついてくる

 また、長時間残業を改善するために、今まさに社内の仕組みづくりをしているという、ITコンサルティングを行うウィルドの代表取締役・大越賢治さんは、ある悩みを打ち明けた。

 「社員のワークライフバランスを優先的に考え、試行錯誤して仕組みを変えてきました。それで、会社の雰囲気は飛躍的に良くなったんです。だけど、業績にまだ結び付けるのは難しい。2年越しで今期ようやく業績が上がりそうです」。

 自身も会社のトップとして社員のワークライフバランスに力を入れている川島さんは、「業績に結び付けるまでには時間がかかるもの。ただ、、社員の変化が目に見えるかたちになり、大越さんは今、イクボスの手ごたえを感じて楽しいのではないでしょうか。経営者にとっては、ここが正念場でもある。きっと、結果はついてくるはずです!」とエールを送った。

左から安藤哲也さん、川島高之さん、羽生祥子
左から安藤哲也さん、川島高之さん、羽生祥子

 フォーラム終了後に集めたアンケートでは、「イクボスを増やすために何が必要ですか?」との問いに、
●「ロールモデルの可視化」
●「成功事例の共有」
●「業務改善を徹底して仕事量を減らす」
●「過去の経験、自分の知識を絶対としないこと」
●「トップマネジメントの決断」
●「女性経営者を増やすこと」
●「人事担当者の考え方を変えること」
●「部下と上司が話し合える機会を増やすこと」
●「会社の評価制度を変えること」
●「WLBマネジメントが人事評価にプラスとなること」
●「イクボスがいる組織は長期的にみて企業パフォーマンスが向上するという理解」
●「自分自身がイクボスとなること」

 など、前向き意見がたくさん寄せられた。「私の会社にはこんなイクボスがいます」「わが社でもイクボス・プロジェクトを推進していきたいですね!」。2時間半のフォーラム終了後も、参加者たちは互いに思いを共有したり、情報交換をしたり。会場内は熱気であふれ返っていた。

(取材・文/長野洋子=日経DUAL編集部、撮影/花井智子)