『だれも教えてくれなかった ほんとうは楽しい仕事&子育て両立ガイド』の共著者で、夜間保育&学童保育所を運営する認定NPO法人あっとほーむ代表の小栗ショウコさんと、松蔭大学・経営文化学部准教授の田中聖華さんに、仕事と育児の両立について聞いていきます。今回のテーマは「仕事も子育ても諦めないという考え方」です。

共働き夫婦が増えた肌感覚はあるけれど……

 私(田中)の住む地域は、東京都内や神奈川県中心部で働く人が多い土地柄です。昔ながらの森や畑が広範囲に残っている一方で、新しい街づくりが行われて、自然環境にも生活環境にも恵まれているので、若い世代の家族が移り住んで子どもの数も増え、横浜市の中でも人口増加が著しい地域です。

 朝の通勤時間帯より30分ほど前の駅近辺の風景を見ると、小さな子どもを抱っこしたり、ベビーカーに乗せたりして、子どもの着替えや保育園で必要なものが入っている荷物を抱え、通勤前に子どもを保育場所に預けに行くのだろうと思われる女性達の姿を以前よりたくさん見かけるようになりました。

 最近では、スーツ姿の男性(きっとお父さん)が、同じようにしている場面に出くわすことも珍しくなくなってきました。早い時間では、午前6時半前後からそのような光景を見かけます。

 同じ経験をしてきた私は、「こんな早い時間に子どもを預けに行くためには、子どももさることながら、お母さんはさらに早起きをしていなければできないはず。さぞや忙しい朝だろうなぁ」と思わずにはいられません。

 そして同時に、仕事と子育ての両立を目指して頑張っている女性が増えたことを感じ、「どうか、頑張って仕事を続けてほしい」と心の中でいつも願わずにいられません。

 働く女性について公表されているデータを調べるとき、一番有名な統計の一つは、女性の年齢階級別労働力率(図1)ですね。平成23年の調査結果で見ると、10年前よりも働く女性の比率は増加しています。けれども、よく知られているM字型カーブは、その全体像をそのまま残しています。

 違いは、10年前よりも、M字の底になる年齢階級が、右に動いたことです。つまり、平成13年には、M字の底は30~34歳だったのに対し、平成23年には、それが35~39歳になったのです(総務省統計局「労働力調査」より)。

平成23年度版 「働く女性の実情」(厚生労働省)より
平成23年度版 「働く女性の実情」(厚生労働省)より