今や、大人だけでなく、年齢の高い子どもにも日常生活に欠かせないツールとして活用されている携帯電話。しかし、その便利さの裏には危険も付きまとい、トラブルに巻き込まれる子どもが後を絶ちません。「だからこそ、正しい使い方を指導する『ケータイ教育』が必要です」。そう訴えるのは、IT運用のコンサルタントを務める傍ら、「東京都eメディアリーダー」の一員として、「ケータイやインターネットの安全な使い方」の啓発活動を行っている目代純平さん。子ども達のケータイの利用状況、親が取り組むべき「ケータイ教育」について話を聞きました。
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ケータイは子どものコミュニケーションと遊びに欠かせないツール
―― ケータイ所持の低年齢化が進んでいるようですが、この現状をどう捉えていますか?
目代さん(以下、敬称略) 私は5年くらい前から、主に東京都内の小学校を訪問し、子ども達に話をしているのですが、高学年では毎年10%ずつ、ケータイを持つ子どもの割合が増えているように感じます。地域の差はあるものの、5年生ではおよそ6割、6年生になると8割、中には9割近くの児童がケータイを所持している小学校もあります。ケータイデビューが、いきなりスマホという子どももいますね。
子ども達がケータイを持つ理由の一つに、ケータイがなければ、友達と連絡を取ることができないという現実があります。というのも、学校によっては、個人情報を保護するために、連絡網を作っていません。また、作っていても電話番号の表示を拒否する家庭もあります。そのため、友達との連絡にはケータイが必要になる。ケータイを持っていないことで、遊びに誘われず、仲間外れになったというケースも少なくないようです。今の子ども達は、ちょっとした連絡もメールでやり取りします。コミュニケーションの取り方が変わってきたと言えます。
さらに、ソーシャルゲームが増えていることも、子どもがケータイを欲しがる大きな理由です。子どもにとってケータイは、まさにゲーム機と同じ遊び道具。電話をかけるという機能にはさほど関心がなく、音楽をダウンロードできる、ゲームができるという機能に魅力を感じているのです。
―― 子どもがソーシャルゲームをしていたために、後日、高額の請求書が届いたという話も聞きます。
目代 ソーシャルゲームには、最初は無料で遊べても、後からお金が掛かるものがあります。子どもは、無料だから大丈夫と気軽に始めますが、ゲームを進めていくうちに、次々と有料の誘いが現れ、いつの間にか課金されていた……、というパターンです。親は、ソーシャルゲームの仕組みを把握し、課金額の上限を設定するなどして、正しい使い方の指導をすることが必要ですね。