ネットの使い方次第で、被害者にも加害者にもなる

―― ケータイのトラブルの大半は、インターネットによるものです。その利用方法に落とし穴があるのでしょうか。

目代 ご存じのように、インターネットを使うと、すぐに世界とつながることができます。つながった先には、素晴らしいものもあれば、危険なものが潜んでいる場合もあります。だから、注意が必要なのです。
 セミナーなどの場で、よく保護者の方に話すフレーズがあります。

 「子どもを1人で夜の歌舞伎町に行かせますか? しないでしょう? でも、子どもに自由にネットを使わせるのは、それと同じことなんです」

 子ども達の多くは、SNSやコミュニティーサイトでの仲間との会話を楽しんでいます。しかし、時には、悪い大人が年齢や性別を偽り、他人に成り済まして、入り込んでいることもあるのです。そして、サイトに載せている写真を悪用したり、写真や学校名などで居場所を突き止め、ストーカー行為に及んだりすることも……。さらに、子どもがサイトで知り合った人に会いに行き、誘拐や性犯罪に巻き込まれる事件も起きています。

―― 犯罪者は、子どもの無防備さに付け込んでくるのですね。

目代 子どもはインターネットを、手軽に、時には大人よりも上手に使いこなします。しかし、様々な状況に対応する経験が少なく、身を守る知識も不十分です。だから、「インターネットの情報は、すべてが正しいわけではない」「インターネットはいろんな人が見ている」ということを、私達大人がしっかり教えなくてはいけません。

 子ども達が、自分や友達の個人情報、または写真をサイトに載せてしまうのは、ほんの軽い気持ちから。しかし、それは全世界に公開されているのです。また、一度インターネットに出た情報は、コピーされたり転載されたりすることもあって、簡単に削除することはできません。だから、ネットには安易に情報を流してはいけないということも伝える必要がありますね。

―― 使い方を間違えると、取り返しのつかない被害を受けることがあるのですね。

目代 被害もそうですが、自分の子どもが加害者になることもあります。ネットいじめなどが、その一例です。ネットいじめは、対面のいじめとは違い、自分は安全な所にいて、他人を攻撃することができます。そのため、表現がどんどんエスカレートし、さらに書き込みもあっという間に広がるので、大変な事態に発展しやすい。ネット上であっても、いじめは立派な犯罪です。

 また、ネットでは相手の表情が読み取れないので、軽い気持ちで書き込んだ悪口でも、想像以上に人を傷付けることがあります。保護者は、加害の怖さも教えなくてはいけません。