メーカーごとに異なる「快適性」への取り組み方

──それではメーカーごとの特徴を教えてください。

●ダイキン 信頼性の高い専業メーカー
 ダイキンは専業メーカーですので、製品のクオリティーが高い。いち早く新冷媒を取り入れ、それが他社に波及したことでも分かるでしょう。また「うるる加湿」という機能があります。タンクに水を入れなくても、室外機から加湿を行えるんですね。さらにサーキュレーション機能も優れています。他社にも同じような機能はあるのですが、ダイキンだけ下から空気を吸い込むので、効率がいいんです。

●三菱 分割フラップで風向き調整
 三菱は「センサーの三菱」。指先や足先の体感温度を感知するムーブアイ機能が特徴です。また他社では1枚のフラップが、二分割されているのも特徴です。片方は真っすぐ、もう片方が下向きと、向きを分けることができます。風向きを細かく調整できるので、体感温度が違う夫婦に向いています。夫は暑がり、妻が寒がりでも、これなら家庭内別居しなくて済みます(笑)。

●パナソニック 間取り覚え効率よく冷やす
 パナソニックはエコナビが特徴です。人が動いている、止まっている、日が差しているなどを感知して効率よく運転します。間取りを覚えるのが上手。だから細かなことをお任せして効率よく冷やしたい人に向いています。またスマホ連携もいち早く取り入れました。外からエアコンを操作できるので、子どもが先に家に帰るDUAL世帯には便利です。「今日は暑かったから冷やしておこう」といった操作ができます。

●日立 汚れにくいステンレス内部
 日立は内部がステンレスなのが特徴です。プラスチックに比べて汚れが付きにくく落としやすい。煙草を吸うご家庭、キッチンに近いので油煙が回るようなダイニングキッチンに向いています。また温度だけでなく、画像センサーを搭載しています。なので対象が人かどうか、部屋に人が何人いるかを正確に判断します。温度センターだけだと、動いているペットを人間と判断してしまう場合もあるんですよ。

●東芝 優れた安定運転時の省電力
 東芝は基礎体力に優れている。普通のエアコンはシリンダーは1つだけなんですが、東芝は2つ。安定時に入ったとき、1つが休むことで、電力を抑えることができます。消費電力を見ると、最低運転時の消費電力が他社の2分の1くらい。マンションなどの高気密住宅は、安定時運転が長いので、長い時間、家にいる家庭に向いていますね。また空気清浄機能も優れています。

●シャープ 風の当て方にやさしい工夫
 シャープは「赤ちゃんに優しい」が売り。赤ちゃんや高齢者でも体調を崩さない冷やし方を意識しています。具体的には風を当てない。風が当たると冷えたように感じますが、長く当たっていると負担になります。そこでシャープは壁や床から暖めたり冷やしたりするように工夫しています。実際に風の不快感はないですよ。お得意のプラズマクラスターも、部屋干しの時に脱臭効果があると好評です。

●富士通 無線リモコンで室外操作も
 富士通は業界初という機能が多いんですよ。自動掃除機能も最初に付けたのは富士通でした。面白いのはリモコンが赤外線ではなく無線ということ。センサーに光線を当てなくても操作できるので、寝室からリビングのエアコンをつけたりできます。本体両脇に付いているDUAL BLASTERという機能も面白いですね。エアコンの風を両脇に付いたファンの風が制御するんです。また小型モデルもあるので古いマンションにも取り付けられます。

 同じメーカーの製品でも上位モデルにはすべての機能が付いているのに、下のグレードのモデルになるにつれて機能が減っていきます。メーカーの特徴を把握したうえで、自分のライフスタイルに合ったグレードの製品を選んでいくといいと思います。

エアコンは同じメーカー内でもさまざまなグレードの製品がある。メーカーの特徴を把握したうえで、自分のライフスタイルに合ったグレードの製品を選んでいくといい
エアコンは同じメーカー内でもさまざまなグレードの製品がある。メーカーの特徴を把握したうえで、自分のライフスタイルに合ったグレードの製品を選んでいくといい