このサポートを「当たり前」と思われると、辛い。人手が足りないからしんどい、という面もある。それ以上に、手取り足取りでフォローを続けていると、中学に行って子ども自身が困る。卒業時には「自分で宿題ができる」「授業でわからないところを調べる、質問することができる」「携帯やゲームの誘惑を振り切って勉強できる」中学生にして送り出したい。

 現場に来て痛感するのは「学力以前の課題」を抱えている児童が多いことだ。授業を受けて理解するには、十分な睡眠に裏付けられた体力がいる。それなのに、夜遅くまでゲームや携帯いじりで寝不足、朝ごはん抜きで学校に来られると、どれだけ教師がいい授業をしても届かない。

 以前このコラムで紹介した養護教諭の岡部先生が中心となり、あの手この手で「早寝・早起き・朝ごはん」を子ども自身に意識させるよう、取り組んでいる。

 そうは言うものの、我が家でも22時過ぎになる日が多く、まったく偉そうに言えない。テレビでジブリのアニメが21時から始まり、自分の時間ほしさについ夜更かしを許してしまった時など、自己嫌悪でいっぱいになる。甘やかす意味の「子ども優先」ではなく、彼らの心身を育てるための「子ども優先」を貫くには、親自身が誘惑に勝つ力が必要だ。子どもによって、親も育てられるのだと感じている。

 生活習慣の課題をクリアすると、次に「学習規律」の課題がある。時間を守る、忘れ物をしない、人の発言を集中して聴く。学校に来るのがやっとという児童には、これまた難問だ。公立小の先生達は、本当に粘り強い。「40人学級で学力向上」を求めるのは、かなりハードな注文と言える。