寿退社後、専業主婦を経て契約社員に!
―― 「ゼクシィ」の編集長というイメージが強いですが、新卒でリクルートに入社したわけではないんですよね。
伊藤さん(以下、敬称略) そうなんです。新卒で別の出版社に入って、1年ほど編集の仕事をした後、夫の転勤に伴って寿退社しました。その後は3年間、専業主婦をしていました。今考えると、当時は自分のキャリアのことはあまり考えていなかったように思います。
28歳で再び転勤で東京に戻ってきたときに、リクルートの契約社員に応募しました。同じ年代の友達を見ると働いている人がたくさんいましたし、当時は子どももいなかったので、最初はアルバイト感覚で。そしてゼクシィ編集部に配属されました。あの時は1年更新・最長3年の契約だったので、「結果を出さないと」というプレッシャーがあって。だから、とにかく夜遅くまで働いていました。
―― 独身者の多い職場だと思うのですが、主婦経験がある人はどれくらいいたのですか?
伊藤 かなり少数派でしたね。私は既婚者であり、主婦の経験もあったので、生活者目線を心がけていました。「二の腕が痩せて見えるウエディングドレス」を企画したりして、徐々に「庶民派編集者」として人並みに仕事ができるようになりました。でも、正直言うと、その路線しか力を発揮する方法がなかったんです。その後、副編集長になったタイミングで正社員になり、33歳で編集長になりました。
―― 編集長として実績を出している最中での妊娠。当時はどんな気持ちでしたか?
伊藤 まさに、編集長としてバリバリやっているときに妊娠。当時は出産後も編集長を続けるなんて全く考えられませんでした。産休前は連日、夜遅くまで働いていたので……。辞めることを前提にして「もったいないね……」と言われても、「でも、契約から入って編集長までやれたし、面白い経験したなぁ」と思っていたくらいでした。「同じ仕事に戻りたい」という気持ちはなかったんです。
次ページから読める内容
- 出産時に生死をさまよって気づいたこと
- 復帰直後は時短勤務でも大変。眠くて眠くてたまらなかった
- 子どもの成長に応じて、大変さは変わるもの
- ママになった後も編集長を引き受けた理由
- 定時勤務はハンデではなく、むしろ強みですらある
- 「定時帰りを目指す編集長」として心がけていること
- ダイバーシティーはママだけのものではない