そういえばかつて、仕事でへとへとになって帰宅した後、夜中に夫婦でお茶を飲みながら、「うちにオクサンがいればいのにね……」とぼやいたことが何度もありました。

 家事と育児と仕事を3つともやるのは本当に大変で、夫婦ともにいつもギリギリの心理状況でいたのです。もうひとり、家事とシッティングを専業でやってくれる人がいれば、どんなに楽だろう。子どもにももっとゆっくり向き合えるし、仕事も中断しなくて済む。でも住み込みのお手伝いさんを雇う余裕なんてないし、ああ、しんどいねえ…としみじみ労り合ったものです。

パパが家にいるからできる「中学受験」。でもさらに問題が…!?

 夫が家にいるようになって、収入は激減したものの、それまでは到底実現不可能だと思っていたことが実現しました。うんとささやかなことだけど、子どもが近所で遊び回って喜んでいるのを見るのは本当に嬉しかった。実は彼らもずっと我慢していたんだなあと、初めて子どもたちの気持ちに気がついたのです。

 学童に直行しながら、帰宅後に公園で待ち合わせる友達をどんな気持ちで見送っていたのだろう。気がつかなくてごめんね、と謝りました。やっぱり子どもが子どもとして生き生きしているのを見るのは嬉しい。もちろん彼らも学童ではそれなりに楽しく過ごしていたので、結果論に過ぎないのですが。

 そこで浮上したのが、「このまま家族みんながのびのびと過ごせる環境って?」という問いでした。地元の公立中に行くつもりだった長男ですが、放っておいてもテストでいい点を取るタイプではありません。しかし話していると面白くて、決してアホではないのです。この子のいいところを伸ばすには、もしかしたらゆるめの私立中学の方がいいのかな? と初めてわが家は「中学受験」を考えました。

 それまでは「共働きで中学受験なんて、とても手が回らない!」と思って息子の進学先は公立と決めていたのです。しかし夫が家にいるようになって、「ウチも私立中学受験ができるかも」と、違う選択肢が出てきたのです。

 ……ところがいざ塾に通い始めてみると、さらにまったく別の問題が出てきました!

(以下次号に続く)