そういえば、このごろ顔が老けたけどさすがに彼も年なのね…などと思っていたことがあったけど、あれは彼が人知れず悩んでいた時期だったんだーと、後で気がついたのです。申し訳ない…。

夫が穏やかでハッピーにしているのが、私も子どもたちも大好き!

 人は働かないと食べられない。だから歯を食いしばって働かなくちゃならないこともある。でも、このままここにいることにはとても耐えられない、と思うときもある。彼の収入がゼロになることの打撃と、彼がそんな気持ちで人生を送ることの打撃とを比べたら、私にとっては、後者の方が大きかった。

 彼が穏やかでハッピーにしているのが、私も子どもたちも大好きだし、私にとってそれはかけがえのないことだからです。15年前に彼と出会ってすぐに、「あれ、この人と一緒にいると、自分一人で眺めているこのうんざりな世界が、なんだかいい場所に見えるぞ」ということに気がついて、速攻で押し掛け同棲したくらいですから。

 というわけで、びくびくの大黒柱生活を始めてみるとあろうことか私の中の性悪おやじがむくむくと顔を出した。…でも、いいこともいっぱいあったのです!

 夫が家にいると、子どもたちは学童に行かないで帰宅します。彼らがそれまで一度も経験したことのない、帰るなり玄関にランドセルをぶん投げて近所の子と遊ぶってやつが、当たり前になりました。私が夜遅く帰るときにもシッターを手配しないですむ。宅配の再配達が減る。私は以前よりも仕事に集中できるようになり、子どもたちもパパと過ごす時間がたっぷりで嬉しそう。あれ? これいいじゃない! と目から鱗の気分でした。

学校から帰って近所の野原で遊ぶ我が家の子どもたち
学校から帰って近所の野原で遊ぶ我が家の子どもたち