復帰後の部下にアサインした業務がミスマッチだったら?

 育休からの復帰後、よくあるのが本人の能力や希望とアサインされた業務のミスマッチ。特に、時短勤務で戻る場合、時間の制約もあるために以前より簡単な仕事を与えられたり、逆に長時間の残業を必要とするほどの量を負担させられたりということがある。

 そんなとき大事なのは、育休後社員ときちんとコミュニケーションをとり、本人の希望を聞きながら相談することである。アサインした後も、1人で抱え込まないように助言をすることを山口さんは勧めている。

 具体的には、

◎徹底した情報共有を促す
◎仕事を見える化させる
◎アシストできる部下などをつけた上で仕事を任せる

 などを管理職から本人にアドバイスするとよいそうだ。

 また、部下が話しやすいように1対1でリラックスできる場所で話を聞いたり、時短勤務社員以外の同僚社員などの不満も聞いて対応策を考えたりすることで、業務の偏りを是正して、部署全体で働きやすい環境を作っていくのが管理職の仕事だ。

子育ての仕事の両立は夫婦2人だけで頑張りすぎない

 山口さん自身も2人の子どもの出産や育児で、当時の業務の第一線から離れざるを得ないこともあった。また、復帰後に昇進して管理職となり、子育てと仕事の両立に悩む後輩たちの相談にも数多く乗ってきた。

 「子育てと育児の両立は大変でしたが、夫婦だけで解決しようとせず、保育園や地域の人々、勤務先の支援制度や家事サービス、様々な手助けや情報を活用しながらやることで、多くのサポートを得ながらこなすことができました。子育て期間に管理職を引き受けたときも青天の霹靂だと思いましたが、自分では気づかなかった強みを見つけられたり、自分の裁量でできる仕事が増えたり、良かったことが多くあります。管理職となるチャンスが来たときは、ぜひ迷わずに引き受けてみてください」と最後にエールを送った。

(取材・文/岩辺みどり)