彼女の場合、乾パンのほかに用意していたゼリー飲料が役に立ったそうです。乾パンを食べなかった子どももゼリー飲料なら食べてくれた。たしかに常温で日持ちがしますし、水分も取れる。それに何より値段も安いのがうれしい(笑)。
こういうことって実際に体験してみないとわかりません。じゃあ、自分の子どもは何を食べるのか。実際に体験してみようと考えたのがきっかけでした。
避難バッグの中身が夕飯に生きるローリングストック法
──体験してみて分かったことは?
子どもが食べるものと食べないものがやっぱりありました。あと、非常食として用意されている物は、おいしくない(笑)。非常食は5年とか10年持ちます。でも、例えば期限が近づいて、新しいものと交換したときに、古いものを食べたいかというと、正直、食べたくないなと感じました。非常食は、やはり日常から遠い存在なんです。
だから、避難バッグに入れておくのは、普段でも食べたいものにする。これは「ローリングストック法」というのですが、日常的に非常食を食べて、足りなくなったら新たに買い足しておく、というやり方です。
例えばレトルト食品や缶詰って手に入れやすいし、値段も安い。味もかなりおいしい。それで1年くらいは保存できるんですね。しかも、災害時以外にも役に立つ。避難バッグに入れておけば、子どもの昼食にも使えるし、いざというときにはご主人の夕食にもできる(笑)。そうやって活用していると、非常食が遠い存在ではなくなります。
私はずぼらなんで、非日常的なものを定期的に見直すということができないんです。だから防災リュックと呼ばれるものをすぐ手に取れる場所において、そこにいろいろなものを入れています。例えば母子手帳とかレインコートとか。
雨が降る間隔って、非常食の確認をするのにちょうどいいんですよ。梅雨でもなければ毎日降るものでもないし、かといって1年間全く降らないこともない。雨が降ってレインコートを避難バッグから取り出すときに、中に入っているものも一緒に取り出してその日のご飯に活用する。ちょっとつまみ食いをすることもあります(笑)。そして、次にスーパーに行ったときに新しいものを買っておいて、再びバッグに入れておく。
こういうサイクルだと、「気がついたら非常食の消費期限が過ぎていた」ということも防げます。
──食べ物以外の気づきは?
非常時用に揃えたグッズって、実際に使ってみると、最初はうまく使えないことが多いんですよね。