共働きファミリーの住まい選びで欠かせないポイントの一つに、コミュニティーが挙げられる。隣近所や同じマンションの人たちと仲良く暮らすことに、どんなメリットがあるのか。まずはコミュニティー形成のお手本ともいわれるマンションを訪ねてみた。

真冬でも子どもが外で遊び回る築30余年のマンション

 板橋区にあるそのマンション「サンシティ」の敷地に入ってまず驚かされるのは、外で遊ぶ子どもの数の多さだ。この冬一番ともいわれた寒さにもかかわらず、敷地内に設けられた公園に子どもたちが集まり、かくれんぼをしたりおしゃべりをしたり、あるいは黙々とゲームをしたりと、思い思いに放課後の時間を過ごしている。かたわらをマンションの住民と思しき大人がひっきりなしに通り過ぎ、ときおり「手袋落としたよ」などと子どもたちに声をかける。

サンシティの管理組合の大塚恒夫氏
サンシティの管理組合の大塚恒夫氏

「これでも子どもの数はずいぶん減ったのですよ」と話すのは、サンシティの管理組合で専門部員を務める大塚恒夫氏だ。大塚氏はサンシティが分譲された当初に購入し、30年余りの間に管理組合の理事長も経験しながら2人の娘を育てた。入居当時は1900戸近い世帯の多くが子育て世代だったのだから、広い敷地が子どもであふれるほどだっただろう。

「ここでは毎年10月に『サンシティ祭』が開かれ、住民のクラブが発表や展示をしたり、模擬店を出したりします。マンションの内外から1万人ぐらい集まる一大イベントです。また7月には『こども祭』も行われ、小学生によるパフォーマンスや、盆踊りなどをして楽しみます」(大塚氏)