また、違うDUALママからは、理科に関するエピソードが届きました。

 「去年、国立天文台のハワイ観測所に勤務している天文学者の友人の講演を企画して、ハワイ、大阪、東京をつなぎ、大スカイプ大会を開催しました。夫や息子も聞きに来てくれました。それをきっかけに息子が天体望遠鏡が欲しいと言い出し、夫を中心に“天体望遠鏡購入プロジェクト”を発足! 晴れてお年玉で購入することができ、喜びいさんで月を観測する日々。近所に天体観測の団体を見つけたので、家族で一緒に見に行こう!と夢が広がっています」

 大人が本気で面白がっていると、それが子どもにしっかりと伝わる。それが証明されている好例です。まず「親が探究に夢中になること」。これが家庭教育改革のカギだと思います。

その夏の自由研究は「なんで田んぼの水面が緑に変わったの?」から始まった

 今回は「わが家の理科の3Dラーニングの取り組み」について話します。

 理科の3Dラーニングの好機はやっぱり「夏休みの自由研究」だと思います。「今から夏休みの話? 早いんじゃない?」と思いますか? いえいえ、本気で取り組むなら早いに越したことはありません。場合によっては、そのために旅行の予定を入れる必要があるかもしれない。であれば、今からやっておいたほうが落ち着いて取り組めますよ。

 2013年の夏休み。僕は次女(小4)と僕たちなりの研究を始めました。テーマは「田んぼの浮き草の増え方について」です。

 次女は毎週、ダンスレッスンのために隣市の体育館まで通っています。その道すがら、田んぼがあるのですが、ある時期から田んぼの水面全体が緑色に変わったというのです。よくよく話を聞くと、浮き草が増殖して、水田を覆い尽くしていたことを不思議に思ったようでした。そこで、彼女の視点を生かし、夏休みの自由研究は、浮き草の増え方をさまざまな条件を変えて観察してみようと二人で決めました。

 僕の役割は、彼女の研究補助です。例えば、一眼レフのカメラを貸してあげて、観察する浮き草の撮り方を教えたり、雨風が強いときに外に置いた浮き草を家の中に避難させること、などです。

 発見もありました。農家の方に田んぼから浮き草をもらいに行った時のことです。次女は恥ずかしがり屋で、僕に一緒に行ってほしいというので同行しました。もう薄暗くなった夕暮れ時、初めて訪ねる農家のインターホンを押しました。

 農家のおじさん:「はい」
 僕:「夜分にすみません。お宅の田んぼの浮き草を自由研究で使わせていただきたいので、浮き草をいただきたいのですが」
 農家のおじさん:「……よく分からないから、ちょっと待って」

 もう完全に怪しまれています(笑)。次女に「お父さん、怪しい人だと思われているから、自分でちゃんと説明してね」と数秒で説明しました。そして、農家のおじさんがいぶかしげに顔を出しました。

 農家のおじさん:「はい。何でしょう?」
 僕:「本当にこんな時間にすみません。娘が話しますので……」
 次女:「夏休みの自由研究で浮き草の増え方を調べたいので、田んぼの浮き草をもらいたいです」
 農家のおじさん:「近所の小学校の子かい(ここで急に笑顔になる)? 今、何年生? いいよ、取っていきなさい!」
 僕:「ありがとうございます!」
 次女:「この入れ物いっぱいに入れていいですか?」
 農家のおじさん:「いいよ、いいよ!」