中学受験のスタンダードなやり方として、大手塾プラス家庭のフォロー、というのがあります。この「家庭のフォロー」部分を個別塾にお願いできないか? という発想が当然浮かびます。時間が限られている共働きファミリーでは検討するケースも多いのではないでしょうか。

 これは実際、ないことではなくて、たとえば日能研ならユリウス、サピックスならプリバードというふうに、大手塾にはセットで系列の個別塾があることが多いです。系列なら何がいいかというと、個別塾で、あらためて教材やらカリキュラムやら成績状況やらの説明をする必要がなく、連携がスムーズなところ。そして、たいてい地理的にも大手塾教室の近くにあることが多くて移動も楽です。

 もちろん別途お金がかかりますが、たいていこういう、大手塾系列個別塾は、お値段設定がリーズナブルです。個別塾だけでやっているところ(トー○スとか)よりだいたい安く済むようです。

 日能研+ユリウスでびっしり埋めて、勉強はすべてその中で賄い、家では勉強をほとんどせず(親は勉強を見ず)難関校に受かった事例もありました。その方の場合、お金には困っていないけれど、夫婦とも自営業で時間がなくそういう選択になりました。個別塾に行かせるようにしてから、特に国語が大きく伸びたそうです。国語は特に、大手塾一斉授業より、個別に寄り添って正しい読解の態度を身につけていくことが効きそうですから、そこがヒットしたのでしょう。

 しかし、いつもそううまくいくとは限らず…私の聞いた範囲では、個別塾であんまりうまくいかなかった話を山ほど聞くわりに、すごくうまくいった事例は上記の知人以外ほとんどありません。

…これはなぜか…

お安いにはワケがある

 ひとつには、まず、「お安いにはワケがある」ということです。ちょっと計算してみればわかりますが、日能研の月謝を取って30人の子どもに一人の講師が授業をするのと、ユリウスの月謝を取って2人の子どもに一人の先生が相手をするのと、先生に払える額がどれだけ違うか…はっきりいって、日能研の先生はスゴ腕のプロですが、ユリウスの先生はやさしくてまじめなだけのお兄さん・お姉さん(学生)です。