3社目の取材先はサイボウズ。グループウェアに特化したソフトウェア開発会社だ。同社のグループウェアは国内4万6000社以上での導入実績を持ち、トップシェアを獲得している。1997年に創業し、2000年に東証マザーズに上場。2002年には東証二部に市場変更、2006年には東証一部に上場を果たした。単体での従業員数は295人(2013年12月末時点)。うち女性が約4割を占める。
※グループウェアとは:企業内LANを利用した情報共有のためのソフトウェア。グループメンバーの協調作業やコミュニケーションの効率化・円滑化を目的とし、電子メール/スケジュール管理/書類共有/電子会議/電子掲示板ほか、多様な機能を備える。
IT業界では、多数の企業で長時間労働が常態化しており、「新3K(きつい・帰れない・給料が安い)」などとも呼ばれるようになった。ゆえに離職者も多く、サイボウズにおいても、2005年時点で離職率は28%と悪化していた。ところが、2012年、同社の離職率は4%にまで改善している。全社の社員数における女性社員の比率も順調に上昇中だ。
その背景にあるのが、2007年に導入された「選択型人事制度」である。社長の青野慶久さんは、自ら育児休業を取得したことで有名なイクメン。そんな社長に率いられている同社ならではの柔軟性豊かな人事制度の真骨頂だ。ライフイベントに応じて働き方を変更できる制度で、2011年に改定され、現在は次に上げるような3タイプが設定されている。
「ワークスタイルに優劣を付けない」という考え方を徹底して打ち出す
「PS」「DS」という名称は、ソニーと任天堂のゲーム機の名前に由来する。「好みのゲーム機を選ぶのと同じような感覚でワークスタイルも自由に選ぶ」「優劣つけずお互いの選択を尊重する」という意味が込められている。どんな働き方を選ぶかはライフスタイルと照らし合わせながら随時見直し、いつでも変更できる。
例えば、育児休暇からの復帰した直後は「ライフ重視型」で働き、育児と仕事の両立に慣れてきたら「ワークライフバランス型」へ移行、子どもから手が離れたら再び「ワーク重視型」に戻るといった働き方が可能になった。もちろん、育児だけでなく、家族の介護、大学への通学、体調を整えるための休養など、個々の事情に応じてワークスタイルを切り替えることができるのだ。
なお、同社では、男女問わず、育児休暇の取得可能期間を最大6年間に設定している。実際、最長記録として4年8カ月の育休取得後に復帰したケースもある。青野さんも、長男誕生時には2週間、次男誕生時には、半年間、週1回の育児休暇を取得。今でも、子どもが熱を出したときなどに半休を取るなど、自らの実践によって仕事と家庭の両立を後押ししている。
次ページから読める内容
- 「出産後、仕事をまたバリバリ頑張る気になるかなんて分からない」と上司に打ち明けた
- 社員を働く場所と時間という制約から解き放った「ウルトラワーク」制度
- 生活に必要な雑務をこなす「後ろめたさ」を社員に感じさせなくて済む
- 自由な働き方をするために、自社のウェブサービスをフル活用する
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