「ニッポンの給食に熱い視線 衛生管理は宇宙食レベル」でも取り上げた「全国学校給食甲子園」は、昨年末には8回目を迎えた。全国2266校の応募校のうち決勝戦に臨めるのは、4回にわたる厳しい予選を勝ち抜いてきた、わずか12校。

制限時間1時間。調理、配膳、後片付けまで

 決勝戦当日、東京・文京区の女子栄養大学駒込キャンパスの調理室に集結した各校の代表者2人、計24人の「選手」(すべて栄養士さんと調理員さんの組み合わせ)は皆、全身白衣に身を包み、髪の毛がすっぽり入るよう帽子を深くかぶり、マスクをして始まりの合図を待っていた。

 審査員も取材陣も白衣、帽子、マスクは義務付けられる。報道陣に至っては立ち入り禁止の黄色いテープを越えることが許されない。調理場は神聖なる競技場のようである。

 まず、調理前の手洗い検査が始まった。手先、指先、爪だけでなく、肘の辺りまで満遍なく丁寧に洗っている。蛇口をひねる際は手を使わず肘を使い長い柄を押す。水が跳ねないよう配慮しながら2分間洗い続けた後、審査員が基準値の数値を確認する。こそぐように何度も何度も手を洗う姿はストイックで、まるで何かの“儀式”に見える。

 調理開始の合図だ。各校、それぞれ自分の持ち場に入り、まずは手際よく野菜を洗い始める。

 色違いのエプロンは担当する作業を表す。青いエプロンのときは下処理や洗浄を、オレンジのエプロンのときは肉や魚を扱っている最中、白いエプロンのときは調理と配膳……という具合に区別される。