ママの職場復帰に必要なのは、パパの意識改革!?
講演会の後、いくつかのグループに分かれてグループディスカッションが行われた。あるグループのディスカッションテーマは「パパ達の育児協力」。
アメリカでは「ママが産後うつになるのはパパの責任だ」という考えから、妊娠中の定期健診は必ず夫婦同伴を義務付け、国を挙げてパパの育児教育を推進しているそうだ。だが、日本の男達の育児参加への意識はまだまだ低い。
片山さんは「今の日本の労働環境は、男性にとって育児に携わりたくても難しい原因になっている」と発言。これを受ける形で、参加者の発言が続いた。
「育児休暇は女性だけが取得できるものと思い込んでいる企業側にも問題がある」
「マネジャークラスの男性が育児を優先して育休を取ることは、タブー視されている」
議論は日々の共働きトークに広がっていく。最初に参加者の中のママ達が……
「パパは普段のオムツは替えても、ウンチのときはママ任せ」
「手伝って、と頼むと『手伝ってるだろ!』と夫から逆切れされる」などと言い出すと、パパ達も本音を語るように。
「15分手伝っても必ず文句言われるくらいなら、やりたくないのが正直なところ」
「私は転勤族なんですが、慣れない土地での仕事で自分もストレスがたまって。なのに、家に帰れば妻が子育てのストレスをぶつけてきてつらい」
「育児ノイローゼ経験者です。自分が経験するまで知らなかった。10年前の男達はそんな言葉すら知らなかったのではないか」
ママ達が一斉に身構えたのは、あるパパがこう言ったときだった。
「仕事でへとへとに疲れて帰ってきて、子育ての愚痴を聞かされる男のつらさを分かってほしい」
ママ達の「殺気」を感じてか、別のパパからはやんわりと「妻に文句を言われるとひるんでしまうこともある。男をうまくおだてて、育ててほしいんですよ」とリクエストが。しかし、「結局、妻はパパのお母さん役までしなければならないの!?」というママ達の苦笑いとブーイングが広がることに。
ママの中には仕事も育児もいったん全部引き受けた結果、ストレスから体調を崩し、入院中、子育てのすべてをパパに任せたことで状況を一変させた人もいた。今となっては笑い話だそうだが……。
最後に「パパの操縦法」というテーマで議論が盛り上がった。
「できないママを演じる」「最後の解決をパパに求める」「『パパと一緒にいるときの子ども達の笑顔は輝いているね!』とおだてる」「男脳と女脳の違いを知ったうえで諦める」など色々な意見が出た。中には「義母が専業主婦だったため、育児と仕事の両立なんて無理だろという夫の思い込みに苦しんでいるという根深い話も。
参加者全員が、身近なパートナーの意識改革こそ「産・育休」と「復職」の間の溝を埋めるために必要なものの一つであることを再確認する機会となった。
(ライター/砂塚美穂、撮影/花井智子)