起業ママのパワーで、企業のマインドセットを改革

Hatch Cowork+KIDs代表の片山勇志さん
Hatch Cowork+KIDs代表の片山勇志さん

 同様にコワーキングスペースの運営を行うHatch Cowork+KIDs(東京都港区)代表・片山勇志さんは、起業家とフリーランスで働くママを支援することに軸足を置いた事業を展開中だ。

 アメリカでは50%以上、北欧では70%以上の女性が職場復帰しているのに比べ、日本は先進国の中でもとりわけ女性の職場復帰率は26.8%と低い。

* 日本女性の職場復帰率は内閣府データを参照(10ページ左側)

 「高齢化社会を迎える日本の労働人口や自分の子ども達が将来背負わされる財政状況を鑑みて、このままだと日本は世界から取り残されるという危機感を覚えたのです」(片山さん)

 片山さんは日本女性の復帰率が低い原因をこう分析する。

1) 保育所が少ない
2) 夫の育児協力時間が少ない
3) 復帰後の女性の賃金が低い
4) 復帰後の労働環境が整っていない 

 上記の4点を指摘したうえで片山さんは、「Hatchでは働くスペースを提供することで起業するママを増やし、世界に向けてママ達の能力の高さと活躍をロールモデルとしてアピールしていく。その結果、世の中や政府のマインドセットをシフトさせたい」と言う。

 子育て中のママが起業する場合、自宅をオフィスにするケースが多い。この場合、取引前に第三者を自宅に入れることへの抵抗感や、「家を常にキレイに掃除しなければ」というストレスが新たに発生する。一方、コワーキングスペースを活用すればこのような悩みは解消できる。

 サービスをスタートさせてまだ2年だが、ゆくゆくは事業計画をママ達から募り、投資家とマッチングさせ、事業資金の融資を援助したり、新しいビジネスモデルを推進するための「ハッチプログラム」を展開し、ママ達の起業支援をしたりしていく方針だという。

 場所を共有することで新たに生まれるビジネスもある。コワーキングスペースが生み出す波及効果はそれだけではない。お迎えにやってくるパパも交えた交流会につながり、その結果「育児への向き合い方が変わった」など、パパ達の意識改革にも一役買っているそうだ。