残業、出張はパパとの連携がカギ

 これまで時短を取らず、フルタイムで働いてきた生子さんは、1日1~2時間ほどの残業のほか、日帰りや宿泊の出張もこなしています。現在、所属する事業開発部では、全国8カ所にある事業所へ、営業支援や教育などを目的に赴くほか、医学会に販売支援や自分の勉強のために行くことが年2回ほど。さらに、会社主催の医師会への支援に出向くこともあるそうです。

 「残業や出張は、それを可能にする環境でないと難しいと思います。私も昨年1年間、パパが単身赴任になったときは帰宅時間が遅くなる出張は控えていました。ただ、働くママ&パパである以上、万が一の場合、自分が家事や育児をできなくなることを想定し、そのときどう対応するか考えておいたほうがいいと思っています」

 「例えば、寝かしつけだけでもパパができるようになっておくと、ママは一つ心配が減ってとてもラクになります。あとは保育園の送迎、ごはん、お風呂をどうするか、に対処できれば何とかなりますよね」

求められる役割が、自分を成長させてくれる

 現在、生子さんは事業開発部の課長職に従事。皮膚科学の研究から生まれた低刺激性スキンケア商品の「アデルマ」シリーズ(=写真の生子さんと一緒に写っている化粧品)をはじめ皮膚科向け医薬品、化粧品のライセンス・開発におけるマネジメント全般をこなします。

 具体的には、皮膚の専門家と開発の現場、また営業をつなぎ、人を巻き込みながら、具体的に商品化、目標売上に向けて指揮を執り、仕事を動かすことが生子さんに求められるもの。人との関わりが軸となることにやりがいを感じながらも、知識と経験不足で壁にぶつかることも少なくないようです。

 「事業開発と営業とは任される役割が全く異なっていて、最初のころは随分悩みました。管理職になるまでの仕事って、いつもはっきりと役割が決まっていたのですが、今は答えがあるようでない。正直、楽しむ余裕は全くありませんが、仕事を通して少しでも会社に貢献できたり、患者さん達の役に立てたりするのではないかと思うと、やはりうれしいです」

 ここまで一度も仕事を辞めるという選択はなかった、と話す生子さん。辞めない道を自分で選択していったことではっきりと見えてきたことがあるそうです。

 「4人目を産んだ後、子どもを預ける場所がある限り『私はこの道で生きていこう』という思いが強くなりました。家庭と仕事を自分なりに両立し、かつ、子どもが健康で丈夫ならそれが一番。ここまで仕事を続けてきて本当によかったと思っています」